<社説>不祥事の議員 「居座り」に厳しい目を

2021年11月25日 07時39分
 東京都議選中に無免許運転で当て逃げ事故を起こした木下富美子都議が辞職した。不祥事を起こす地方議員は後を絶たず「居座り」も多い。議員を選び民意を託すのは地域の有権者であり、選挙後も厳しい目を注ぐことが大切だ。
 木下氏は五〜七月、免許停止中に七回運転したとして道交法違反罪で在宅起訴された。交通違反の常習性、順法意識の欠如が疑われる。知っていれば票を入れなかった有権者も多いのではないか。
 さらに説明不足のまま議会を長期間欠席した。「体調不良」「捜査中」との釈明は、政治家の重い説明責任を忘れたかのようだ。
 不祥事を起こす地方議員は少なくない。昨年以降だけでも全国で公然わいせつ罪、傷害罪、新型コロナ感染療養中のパチンコ店通いなどの問題で辞職勧告を受けながら、居座るケースがある。
 河井克行、案里夫妻の大規模買収事件では、現金を受け取ったとされる広島県議十四人のうち十三人が職にとどまったままだ。
 議席が選挙で決まることの意味は重い。それは票を投じる私たちの主権の重さでもある。簡単に辞めさせられる制度では困る。
 実際に、不祥事を起こしながら居座る議員を辞めさせる手段は限られている。
 刑事裁判での失職は禁錮刑以上などの場合で、議会による除名は議場内の行為だけが対象となる。
 地方自治では、条例の制定など幅広い直接請求権が有権者に認められているが、議員や首長の解職請求(リコール)は選挙後一年間は行うことができない上、住民投票前に有権者の三分の一以上の署名(有権者四十万人以下の場合)が必要となる。
 二〇一七年度までの九年間で全国でリコールが成立したのは首長七件に対し、議員は一件。途中まで進んだリコール手続きも首長二十九件に対し、議員は四件にとどまる。首長に比べて議員のリコールは少ないのが実情だ。
 首長と議員では権能や影響力に差があることや、有権者の関心が異なることも、議員リコールが少ない理由だろう。
 しかし、居座る議員の良識に委ねては混乱を長引かせるだけだ。「投票したら白紙委任」ではなくいざという時には有権者が進退を問うことも必要だ。リコール制度が適切に機能しているか、問い直す機会としたい。

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