<プロに聞く くらしとお金の相談室>「年金支援給付金」対象は? 

2021年11月25日 08時44分
<Q> 先日、友人から「年金生活者支援給付金を受給している」と聞きました。年金受給者が、年金とは別に給付金を受け取れる制度とのこと。私は老齢基礎年金をもらっていますが、生活は楽ではないので、対象になるかどうか気になっています。条件や給付額などを詳しく教えてください。

◆手続き必要、書類確認を 社会保険労務士・相川裕里子さん

<A> この給付金は、年金などの収入・所得が低い人を支援するため、国が2019年10月に始めた制度。消費税を8%から10%に引き上げた分を財源として、所得基準などの条件を満たす人に年金に上乗せして支給されます。一度きりではなく、対象者であれば継続して受け取れます。
 給付金には、受給している年金に応じて老齢、障害、遺族の3種類があり、それぞれ支給の条件が違います。老齢の給付金は、65歳以上の老齢基礎年金の受給者で、同じ世帯の全員が住民税非課税の人が対象。さらに、本人の前年の「年金収入」と「その他所得」の合計額が88万1200円以下であることが条件です=図1。

<図1>

 「年金収入」は老齢基礎年金と老齢厚生年金のほか、企業年金も入りますが、生命保険の個人年金などは含みません。「その他所得」は給与などの額面でなく、経費を差し引いた所得額で見ます。
 給付金の額は、所定の計算式=同2=で算出できます。例えば、国民年金保険料を40年(480月)納めた場合、月額は5030円。保険料を20年納め、残りの20年は免除を受けていた人なら7938円となります。免除期間の計算式の方が金額が大きいのは、免除期間が長い人ほど年金額が少なく、給付金を充実させる必要があるため。ただ、年金額と給付金の合計は、納付した期間が長い人の方が多くなります。

<図2>

 一方、所得基準額が78万1200円を超えている場合、計算式をそのまま当てはめると、給付金を支給することによって、もともと年金額が低い人の所得が高い人を上回ってしまうケースがあります。このため、78万1200円超、88万1200円以下の場合は「補足的老齢年金生活者支援給付金」として、所得に応じて減額して支給されます。
 所得状況が確認できないなどのケースを除き、新たに給付金の対象となる人には8月末以降、日本年金機構からはがき型の請求書が順次発送されます。支給の条件を満たしていても、請求の手続きをしなければ給付金は受けられません。
 年金機構からの書類をそのまま放置していないか、自分が対象外だと勘違いしていないか、あらためて確認しましょう。所得基準だけでなく、世帯構成の変化によっても受給の可否が変わるので注意が必要です。
 例えば、会社員の子どもの家族と同居していた老齢基礎年金のみの受給者が、家庭の事情で世帯を分離して一人暮らしになったことで「世帯全員が住民税非課税」の要件を満たし、新たに給付対象になる、といったパターンも考えられます。逆に、給付金を受けていた人が、子どもの家族らと同居を始めたことで、対象から外れるケースもあるでしょう。
 現在の支給サイクルは10月〜翌年9月。来年1月4日までに届くよう請求すれば、10月分までさかのぼって受給できます。

<詳しく!>「障害」「遺族」には別基準

 扶養親族がいない場合、障害、遺族の給付金の所得基準は、本人の前年の所得が472万1000円以下。障害年金や遺族年金の額は含まず、各種控除を差し引いた後の額で判定する。
 老齢の給付金の場合、本人が所得基準を満たしても、同じ世帯の全員が住民税非課税でなければ受けられないが、障害、遺族の場合はそうした条件はなく、安定した所得の同居家族がいたとしても、本人の所得のみで判断される。
 障害の給付金の月額は、等級1級が6288円、2級が5030円。遺族の給付金は月額5030円だが、2人以上の子どもが遺族基礎年金を受給している場合、子どもの人数で割った額がそれぞれに支給される。 (河郷丈史)

社会保険労務士・相川裕里子さん

<あいかわ・ゆりこ> 1968年、千葉県出身。横浜市で社労士事務所「AIコンサルティング」を夫婦で経営。「世界一やさしい障害年金の本」(学研プラス)の著書がある。

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