難病で死去、「ゼビウス」デザインのゲームクリエーター 最後の作品は「逆ヘルプマーク」…優しい世にと願い

2021年11月26日 06時00分
 有名ゲームをデザインしたクリエーターの小野浩さん=神奈川県海老名市=が先月、難病で64歳で急逝した。死去直前の作品は、「協力が必要な時は声をかけて」という気持ちを示す「逆ヘルプマーク」のドット絵。見た目で分かりにくい障害や難病の人が周りに知らせる「ヘルプマーク」の逆の発想で生まれた標章だ。27、28日のお別れの会では「優しい世の中に」との小野さんの願いを受け継ぎ、参列者で2つのマークのタイル画を作る。(三宅千智)

死去直前に「逆ヘルプマーク」のドット絵をデザインした小野浩さん=LAND&SEA提供

 小野さんは東京都中央区出身。銭湯のタイル画がきっかけで、四角い点を並べて絵を描く「ドット絵」に興味を持った。ゲーム大手のナムコ(現バンダイナムコグループ)に入社し、1980年代に流行した「ゼビウス」「ギャラガ」など多くのゲームのドット絵を手掛け、「ドット絵の神様」と称された。
 2013年に独立し、ゲーム関連のデザインやドット絵のワークショップなどを行っていたが、今年7月に体調を崩して緊急入院。指定難病の自己免疫性肝炎と診断された。
 入院中の9月半ば、インターネットで目にしたのが、難病の兄がいる静岡市の小学生(当時)が発案した「逆ヘルプマーク」を紹介する本紙(中日新聞東海版)記事だった。赤色のヘルプマークに対し、逆マークは緑色で、協力が必要な人を援助する意思を示す。2年前の静岡県議会本会議で取り上げられた。
 「この発想は何と素晴らしいことか」。小野さんは逆マークのドット絵を制作。「みんなが優しくなれる世の中になりますように」と言葉を添え、自身の会員制交流サイト(SNS)に載せた。その1カ月後の10月16日、体調が急変し、帰らぬ人となった。

小野浩さんがフェイスブックに載せた「逆ヘルプマーク」(左)と「ヘルプマーク」のドット絵

 小野さんの仕事をサポートしてきた「LAND&SEA」(東京都杉並区)の山本周史代表(52)は「病気になったときに、手を差し伸べてくれる人がたくさんいた。助ける気持ちの大切さが身に染みていたはずだ」と語る。
 闘病中だった小野さんの再起を描くドキュメンタリー映画を作ろうと、山本さんが発起人となってクラウドファンディング(CF)を実施。目標の200万円を大きく上回る540万円が寄せられた。小野さんは亡くなったが、映画作りは続けるという。
 お別れの会では、参列者がタイルを並べ、それぞれ256枚使ってヘルプマークと逆マークのドット絵を完成させる。山本さんは「多くの人に助けてもらった人生の最期だった。小野さんの思いを形にすることで、思いやりの気持ちが広がってほしい」と話している。
 お別れの会は27日午後1~4時、28日午後1~5時、いずれも中央区銀座7のチーパズカフェ。詳細は「Mr.ドットマン|小野浩 公式WEBサイト」で。

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