韓国大統領選 与野党候補の対日外交や歴史観は…支持層固めに差異を強調

2021年11月26日 06時00分
 来年3月の韓国大統領選に向け、与党「共に民主党」候補の李在明イジェミョン京畿道キョンギド知事と最大野党「国民の力」候補の尹錫悦ユンソクヨル前検事総長の対決が本格化している。論戦のテーマの1つは対日外交や歴史観だ。日本との距離感で差異を強調することで、それぞれの支持層を固めたい狙いがうかがえる。(ソウル・木下大資、相坂穣)

◆野党・尹氏 故金大中氏引き合いに関係改善に意欲

 「大統領になったらすぐ日韓関係改善に取り組む。金大中キムデジュン・小渕宣言を再確認することから始めよう」。尹氏は11日、故金大中大統領の故郷の木浦モッポにある記念館を訪れ、こう記帳した。1998年に小渕恵三首相と金大統領が未来志向の関係発展を表明した日韓パートナーシップ宣言を重視する姿勢を示し、文在寅ムンジェイン政権で日韓関係が悪化したことを批判。かつての反共右派政権の流れをくむ保守系野党の候補ながら、民主化運動を主導した革新系の象徴である金氏をたたえることで「国民統合」への意欲を演出してみせた。
 これに対し、李氏はフェイスブックの投稿で「宣言は日本の痛切な反省と謝罪が前提だった」と指摘。「慰安婦問題などで謝罪しない日本にひと言も触れず、政府批判のために歴史的な金氏の業績に言及するとは」とけん制した。
 過去に「日本は敵性国家」と発言したこともある李氏。25日にあった外国メディア向けの会見ではその真意をただされ、2019年に日本政府が韓国に行った半導体材料の輸出管理強化を引き合いに「攻撃的な態度を見ると、警戒心を抱かざるを得ない」と述べた。

◆焦り?選挙用?与党・李氏は過激発言を連発

 李氏が日本側の不信感を抱かせかねない発言を連発する背景には、歴史認識などで日本に厳しい革新系の支持者をつなぎ留めたい思惑もありそうだ。
 李氏はソウル近郊の城南ソンナム市長を務めた当時の都市開発事業を巡る疑惑を抱え、今月前半の各種世論調査では支持率が尹氏を10ポイントほど下回った。尹氏の選対関係者は「李氏はスキャンダルで支持率が伸びず焦っているのだろう」と指摘する。
 共に民主党関係者は李氏の対日発言について「選挙用。大統領になれば現実的な方向に修正するだろう」と認めた上で、尹氏について「自分の言葉でしゃべっていない。周囲のブレーンが書いたものを勉強しただけ」と冷ややかにみる。

◆両候補とも懸案への具体策に言及なし

 多くの韓国民の関心は、高騰する不動産などの経済問題に向けられている。17年の文政権発足から4年余りで、首都圏のマンション価格は約8割も高騰。マイホーム購入を諦めざるを得ない中間層の不満が高まっている。
 このため両候補とも、元徴用工や慰安婦問題といった日韓の懸案を解決する具体策への言及はなく、対北朝鮮を巡る政策すらかすみがちだ。日本の外交当局者は「内政モードに入っている候補の発言に、日本政府としていちいち反応することはない」と静観する。
 韓国の元外務省幹部は、李氏の過激な発言を危ぶみつつ「日本批判を国内政治に使うやり方は見透かされている。若い世代にはこれまでのように影響を与えられないだろう」とみる。

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