音楽で木育 歌や踊り交えコンサート 川崎の音楽教室、木の楽器で自然と共生

2021年11月26日 07時05分

「音の教室カリヨン」が開いたコンサートを楽しむ親子連れ

 川崎市高津区の音楽教室が木育をテーマにした音楽絵本を制作し、歌や踊りも交えて子どもたちに自然との共生を呼びかけている。今月中旬には東京・銀座でコンサートを実施。子どもたちは絵本に登場する主人公とともに歌ったり、踊ったり。木製の楽器を手にして木の感触も楽しんだ。今後も全国各地でコンサートを企画し、木の大切さを伝えていく。
 音楽教室は「音の教室カリヨン」。二〇〇〇年に開講。ただ音楽を教えるのではなく、曲に合わせて踊ったり、絵を描いたり、絵本に曲をつけて歌って聞かせたりして子どもたちの五感を刺激している。ゼロ歳児から小学六年生まで、通った子どもは二十一年間で千五百人を超える。

「音の教室カリヨン」代表の平松あずささん(左)ら=いずれも中央区銀座で

 代表の平松あずささん(45)は昨年、教室の一部をフリースペースに改装した際に壁や床をすべて北海道の道南杉で木質化。木の大切さに触れ、川崎市が取り組んでいる「木材利用促進フォーラム」に加わった。
 外国産の木の輸入が増え、国内産の需要が減って森に人の手が入りにくくなった。森は荒れると土砂災害や洪水の防止、生物の多様性保全という役目が果たせない。同フォーラムは木の建築物を増やそうと木の良さ、国産木材を使う意義を楽しく伝える取り組みを行っている。
 カリヨンは音楽絵本を二冊制作。「くまのこフルとまほうのクレヨン」では、クマの子フルが荒れた森に迷い込み、そこで見つけた魔法のクレヨンで描いたノコギリで木を切ると、太陽の光が暗い森の奥まで届くようになった−。「まっくらもりのクロスケ」では、ひとりぼっちの森の妖精クロスケが森の中で女の子と出会って−。ともに森をよみがえらせようと、主人公が奮闘する物語だ。

楽器「バードコール」。ねじの部分を指で回すと鳥のさえずりのような音がする

 十三、十四日に無印良品銀座店でこの二作を使った一日二部構成のコンサートを開催。各回に大勢の親子連れが参加した。子どもたちはノコギリで木を切るフルを応援したり、鳥のさえずりとして、「バードコール」と呼ばれる木の楽器を鳴らしたり。親子三人で参加した千葉市の会社員江口俊輔さん(40)は一人息子の歩ちゃん(3つ)の興奮した姿に「普段から音楽好きだけど、絵本と音楽がつながり、木の楽器もあってかなり乗りが良かった」と喜んだ。
 コンサート後のワークショップでは二本の木をぶつけて音を出す楽器「クラベス」を紙やすりなどで磨いた。子どもたちは、うれしそうに手にして持ち帰った。

ワークショップで木の楽器「クラベス」にやすりをかける子どもたち

「クラベス」は持つ部分を丸く削って独自の音が出るように工夫されている

 カリヨンではスタッフが神奈川県北西部の山間部に足を運び、森林セラピーや間伐を体験して木育を学んでいる。平松さんは「子どもたちは『植物を傷つけたらダメ』『自然を大切にしよう』と教えられてくるけれど、木を切ることで森を守り、それが将来の自然との共生につながることなどを、木に触れながら楽しく伝えていきたい」と語る。
 クラベスは同フォーラムが全国から集めた間伐材を、川崎市内の「中原工房」が協力して加工し、各地のコンサート会場で子どもたちに手渡している。十二月十一日には、川崎市のJR川崎駅北口のラゾーナ川崎プラザでコンサートを開催する予定だ。
 平松さんは「協力してくださる方が全国にいる。今後はその人たちのもとでコンサートを展開していきたい」と意気込んでいる。問い合わせは、カリヨン=電044(872)9253=か、ホームページから。
 文・安田栄治/写真・池田まみ
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