情のある夫婦の形 「ぢいさんばあさん」菊之助、老妻に挑戦

2021年11月26日 07時37分

「ぢいさんばあさん」への意気込みを語る尾上菊之助=東京都内で

 「十二月大歌舞伎」第二部の「ぢいさんばあさん」では、尾上菊之助(44)が妻るんを初役でつとめる。
 訳あって離れ離れになり、三十七年ぶりに再会した夫婦の情愛を描く、森鷗外原作の心温まる新作歌舞伎。一九五一年に初演されて以来、多くの名優たちが演じてきた。今回、夫の美濃部伊織役は中村勘九郎。
 老け役のるんを演じることについて「自分にできるかどうかわからなかった」と菊之助。だが、父・菊五郎が婆(ばば)役、市川左団次が爺(じじ)役をつとめた六月公演の「夕顔棚」を見て「情のある夫婦の形はいいな」と思い、「こういう世界観を描ける役者になりたい」と初役への挑戦を決めたという。
 「三十七年ぶりに再会した時に心から思わずあふれ出る何かを表現できれば。凜(りん)としたものを大事につとめたい」。迫る本番に意気込みを語る。
 歌舞伎公演にも大きな影響が出たコロナ禍を経て、意識に変化があった。以前は「二十四時間、芝居のことを考えていた」が、舞台の数が減り、芝居のことを考えない時間もできたという。環境の変化が役者としての成長の糧となるよう前向きにとらえている。
 先日、菊五郎が文化勲章を受章した。「まだまだ舞台に立ってもらいたい。父の背中を見ながら成長していきたい」と話した。 (山岸利行)

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