玉三郎、鬼女で魅了 歌舞伎座・十二月大歌舞伎「信濃路紅葉鬼揃」

2021年11月26日 07時40分

「信濃路紅葉鬼揃」で鬼女を演じる坂東玉三郎(撮影・福田尚武) 

 東京・歌舞伎座の「十二月大歌舞伎」第三部は舞踊劇「信濃路紅葉鬼揃(しなのじもみじのおにぞろい)」で、坂東玉三郎(71)が十三年ぶりに鬼女(きじょ)を演じる。紅葉模様のきらびやかな衣装の鬼女六人が登場する作品。玉三郎は「鬼が揃った華やかさをお届けできたら」と稽古に励んでいる。 (山岸利行)

◆能の振り取り入れ

 信濃・戸隠山で侍女を連れた高貴な女(玉三郎)が紅葉狩りを楽しんでいるところに、平維茂(たいらのこれもち)(中村七之助)が通り掛かる。酒宴に誘われ、女たちの舞を見ているうちに酔いつぶれてしまった維茂が目を覚ますと、鬼女の正体を現した女たちが襲いかかって…。
 能の「紅葉狩(もみじがり)」をベースにした作品で、二〇〇七年に歌舞伎座での初演が好評を博し、〇八年に京都・南座で再演された。振り付けの藤間勘吉郎さんが一一年に八十歳で亡くなったなどで「もうやらないと思っていた」という玉三郎だが、昨年暮れの公演で派手な作品が好評だったこともあり、今年の締めくくりの舞台の上演作に選ばれた。

抱負を語る玉三郎=東京都内で

 鬼女はほかに中村橋之助(25)、中村福之助(24)ら若手が起用された。能を基にした演目のため、「歌舞伎の様式にない振りが多い」といい、能の迫力ある、きれいな振りを取り入れることに努めており、「鬼が揃って華やかに出てくることが大事」と稽古にも熱が入る。コロナ禍になって以降、揃って十分な稽古ができない状況が続いてきたが、「丁寧に稽古したものでないと幕を開けられない」と舞台への強いこだわりを明かす。
 普段は女形を演じることが多い七之助が武将の維茂を演じることには「若い立役(男役)、似合うと思う」と期待を語った。
 「桜姫東文章(さくらひめあずまぶんしょう)」「東海道四谷怪談」で片岡仁左衛門との久しぶりの顔合わせが大評判となった今年。玉三郎は「自分なりに精いっぱいやった年でした」と振り返る。
 昨年、今年とコロナ禍に見舞われ、「難しい時代が急激にやってきた」として「芸の継承は難しい」と率直に思いを語る。一方で、「(コロナが)永遠に続くわけではない。慌てず(収束を)待てばいい」と構え、今後も「与えられたものをきちっとつくっていく」と話している。

◇十二月大歌舞伎

 ◇第一部(午前十一時開演)「新版 伊達の十役」(市川猿之助、坂東巳之助、市川中車ら)
 ◇第二部(午後二時半開演)「男女(めおと)道成寺」(中村勘九郎、尾上右近ら)、「ぢいさんばあさん」(勘九郎、尾上菊之助ら)
 ◇第三部(午後六時開演)「義経千本桜 吉野山」(尾上松緑、中村七之助ら)、「信濃路紅葉鬼揃」(坂東玉三郎、七之助、松緑ら)
 公演は十二月一〜二十六日(八、二十日は休演)。チケットホン松竹=(電)0570・000489。

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