平安人の復興祈願 多胡碑記念館で企画展 大地震頻発の9世紀製作 古代瓦「羊子三(ようしさん)」に注目

2021年11月26日 07時47分

古代瓦「羊子三」にスポットを当てた企画展=いずれも高崎市で

 平安時代の九世紀に大地震の被害を受けた、上野国分寺の復興のために作られた古代瓦「羊子三(ようしさん)」にスポットを当てた企画展「子三(このみ)〜災害復興を願った平安人〜」が、高崎市吉井町の多胡碑記念館で開かれている。関連する考古資料も並べ、大地震が各地で頻発した九世紀の時代背景なども解説している。入館無料で十二月十二日まで。(安永陽祐)
 記念館によると、瓦は一九三五年に郷土史家が町内の塔ノ峯遺跡で発見。瓦の製作時期は九世紀と推定される。
 「子三」は人名で、瓦の製作を依頼した人物。瓦には子三を含む三文字が刻まれ、当初は「羊子三」と解釈し、多胡碑に刻まれた人物の「羊」の関係者とみられていた。近年では「辛子三(しんしさん)」と読み、上野国多胡郡辛科郷に居住した子三とする説もある。
 八一八年に上野国を震源とする「弘仁の大地震」が発生し、犠牲者が多数出て、上野国分寺も瓦が落下するなど被害を受けたと伝わる。その後も「貞観の大地震」(八六九年)、「元慶の大地震」(八七八年)、「仁和の大地震」(八八七年)が相次いで発生し、上野国の被害は分からないが、盗賊が横行したという。
 大地震の被害を受けた同寺復興のために献上された瓦には人名が書かれ、子三は災害から復興を願って瓦を献上したとみられる。展示は古代瓦「羊子三」をはじめ、子三の居住地として有力な町内の長根遺跡群から出土した鉄製の焼き印や須恵器など計約五十点を解説している。
 須永忍学芸員は「子三は災害が多発し、社会不安が増大する上野国を仏教の力で安定させるため、瓦の製作を依頼したとも考えられる。子三のようにボランティアで復興活動に携わった人に思いをはせ、群馬の地震の歴史も学んでほしい」と来館を呼び掛けている。月曜休館。

古代瓦「羊子三」。左側に3文字が刻まれている


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