<あぶくま便り>(17)楽しく交流 棚田の芸術祭

2021年11月27日 08時10分

案山子に興味津々の子どもたち=福島県二本松市で

 「うわー! 案山子(かかし)が動いた!」と「人間案山子」に歓声があがります。牛を引く「おばあちゃん案山子」、福島大生の作った「カッパ案山子」、福祉事業所作「チコちゃん案山子」など二十体の案山子が登場した「布沢棚田の芸術祭」が十月三十一日に開かれ、子どもからお年寄りまで約百人が訪れました。
 陶芸体験では粘土を使い大きな顔や、お皿やコーヒーカップなど、子どもたちとお母さんが一緒に作品をつくりました。もみ殻をアート作品に焼く「燻炭(くんたん)アート」では、秋の空に燻炭の煙が優しく流れました。
 コロナ禍で集落のお母さんたちの集まる機会がない中で、「案山子をつくりながらおしゃべりをしよう」というのがきっかけでした。
 里の恵みへの感謝、地域コミュニティーや、都市と農村の新しい関係づくり。老若男女が歌い踊るような楽しい里山をつくりたいと思います。
 十一月十三〜十四日の二日間は、福島大経済経営学類の藤原遥准教授のゼミの学生二十人が、東和地区の有機農業による地域づくりの調査研究にやってきました。
 特に地域資源循環センター(たい肥センター)は「SDGsの先進的な取り組みだ」と感心していました。このセンターは、二〇〇三年に有機農家と肥育牛の牧場と食品企業が出資をして設立した会社です。牛七百頭の牛舎から出る牛ふんに、もみ殻やそば殻、カット野菜の残さ、しょうゆ屋さんのかつお節や昆布の搾りかす、小麦粉のかす、あめ玉の残さなど十四種類の食品残さを混ぜて発酵させた完熟たい肥です。
 産業廃棄物として石油で焼却していた食品残さを有価物として再利用し、ミネラルと糖分を多く含んだたい肥は「ニンジンに甘みが増した」「農薬を年々減らせた」と多くの農家から喜ばれています。農家と牧場と食品企業との連携が地域の資源を循環させて、土と食べ物を健康にしていくしくみにつながっています。
 (菅野正寿 農家。福島県二本松市東和地区で農産加工と農家民宿を主宰)

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