鎖の強さは、一番弱い輪によって決まるという。十八世紀の英哲…

2021年11月28日 07時02分
 鎖の強さは、一番弱い輪によって決まるという。十八世紀の英哲学者リードが書いた言葉らしい。いくら強い部分があっても、全体の強さを決めるのは弱い要素である。日本でも使われる表現は、ひとつの真理でもあろう▼新型コロナウイルスとの地球規模の戦いにも似たところがありそうだ。ワクチン接種で感染への扉を閉鎖しても、脆弱(ぜいじゃく)な立場の人々を見過ごせば、強さは得られない▼世界保健機関(WHO)から最高の警戒度に指定された新たな変異株「オミクロン株」。どこで変異したか、どれほどの脅威か、まだはっきりしてはいないが、最初に確認されたのはワクチン接種が遅れ、分配の不公平が指摘されているアフリカである。ワクチン接種の弱い輪だろう▼米メディアによると、オミクロン株が報告された南アフリカは、接種を望まない人もいて、接種が伸び悩んでいる。大陸には接種率が一けた台という国もある。変異の場にならないかと、以前から懸念されていたという▼コロナの難敵ぶりをまたしても見せられている。さまざまなスポーツの常道のように、前に出ていこうとするタイミングで、弱点を突かれた格好だ。経済が再び動き始め、国境もまた開かれようとしている時である。世界の金融市場が揺さぶられている▼弱い輪を看過していては危機の克服は難しい。そんな警告を受けているようでもある。

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