沼津プロレス 地域とタッグ15年 コロナ禍、資金難…看板守る ごみ拾いや交通安全啓発にファイト!

2021年11月28日 07時55分

「沼津や地域のためにできることをやっていきたい」と話す高橋裕一郎代表=沼津市で

 地域密着を掲げて沼津市を中心に活動する「沼津プロレス」が今秋、旗揚げから十五周年を迎えた。ご当地色を打ち出したユニークな覆面レスラーらが迫力の技を披露し話題となったが、近年は資金難やコロナ禍などでピンチ続き。それでも地域貢献に励み、看板を守っている。沼プロの代表者は「苦しい状況ではあるが、沼津や地域のために尽くしたい」とリセット状態からの逆襲を誓う。(藤浪繁雄)

年末の交通安全啓発に一役買う駿河永悟さん(右)ら沼津プロレスのメンバー

 「飲酒運転に卍(まんじ)固め」「ヘルメットをかぶろう!」。十一月のある日、沼津市内で沼プロの三人が次々とポーズを決め、県交通安全協会沼津地区支部職員のカメラに納まった。十二月に公開する交通安全啓発のキャラクターとして白羽の矢が立った。
 「久々の現場でした」と高橋裕一郎代表(54)は笑顔を見せる。コロナ禍でイベントや地域活動は中止続き、それ以前も主催試合(興行)は赤字が出てしまい、思うように活動できなかった。それだけに喜びも感じた。
 沼プロは地元のラジオパーソナリティーなどとして活動する高橋さんが構想を練り、二〇〇六年に旗揚げ。「お茶戦士カテキング」「みかん戦士寿太郎」「牛神ザ・グレート・アシタカ」…。名産品や地名をあしらった覆面キャラクターを続々編み出した。オリジナルのマスクは五十以上あり、名だたるプロレス団体に所属するレスラー陣らが被(かぶ)って参戦。格安のファイトマネー、時には手弁当で力を貸してくれた。

2010年、本格的な試合をする沼津プロレス(高橋さん提供)

 お笑いやまがいものではない「本物」の興行を実現させ、会場は千客万来。「子どもからお年寄りまで、初めてプロレスを生で観戦する人たちで盛り上がった」と高橋さん。一時期、企業の協力で専用リングもあった。
 タイトルマッチも開催したが、主催興行はいつしか収益面で苦境に立たされるようになった。この危機に高橋さんは地域活動にかじを取った。「市の行事予定表を見て、『お手伝いできることはないか』と必死に売り込んだ」と明かす。ごみ拾いや祭りの盛り上げ、交通安全運動などに一役買った。「身近な沼プロ」に徹するうちに、各種イベント出演や人力車引きの要員などの依頼も舞い込んだ。継続していく力になった。
 覆面集団にあって、素顔を出しているのがエース選手の駿河永悟さん(53)。市職員としての顔を持ち、市公認で活躍している。「立ちゆかなくなった地域プロレスもある中、十五年よく続いた」としみじみ。コロナ後を見据え、「地域活動を通じ、住民の方々の期待も感じるのでずっと鍛えている」と鋼のような肉体を示し、本格的な再興に望みを抱く。
 細々だがしぶとく光を放ち続ける沼プロ。高橋さんは「看板を下ろすつもりはない。(駿河さんや覆面といった)レスラーらキャラクターも浸透している。地域のヒーロー、ヒロインとして活躍していきたい」と宣言。金銭面での悩みは続くが、イベントなどのオファーを待ちながら反転攻勢のチャンスをうかがう。

◆事情通「生え抜き育成を」

2013年、観客を魅了する沼津プロレス(高橋さん提供)

 沼津プロレスのような「ご当地プロレス」は各地に存在するが、その現状と未来は−。元プロレス誌編集者で表現ジャンルライターの鈴木健.txtさんは「約四十都道府県にあると思われるが、定期的に興行を開催し、同好会規模ではない運営をしているのは数えるほど」と指摘する。その中にはイベントに呼ばれないと興行を開催しない団体も多いという。
 コロナ禍で「ほとんどが活動できない状況」の昨今、収益を上げることは容易ではなく「継続が最も難しいテーマ」と話す。それでも、NPO法人化した九州プロレス(福岡市)のように災害復興の力になり地域貢献で信用を高め、企業の支援を得ている団体もある。そのように認知されている事例から「地元住民が思い入れを持って応援できるキャラクター(レスラー)をひねり出すとともに、生え抜きの新人選手を育てることも重要」としている。

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