<ひと ゆめ みらい>手つかずの自然を守って ミクロネシアで清掃続ける水中カメラマン・道城征央さん(53)=目黒区

2021年11月29日 07時17分

海を潜る際に使用するカメラを手に話す道城征央さん=目黒区で

 太平洋の島国・ミクロネシア連邦の海や自然の撮影を続けて十五年。マングローブ林や、海中を泳ぐイルカの群れ、色とりどりの熱帯魚など「ありのままの自然」を捉える。これまでに訪れたのは約四十回。写真は、同国大使館が発行する観光パンフレットにも採用されている。
 二〇〇六年、趣味のダイビングで初めて訪れ、美しい海に魅了された。持っていたコンパクトカメラを使い、夢中でシャッターを切った。二年後、水中カメラマンとなり本格的に活動。初の個展もミクロネシアの海をテーマにした。
 だが、現地に出向けば出向くほど感じたのは、島中にあるごみの多さだった。夜は月明かりで読書ができるほど自然にあふれた国だが、ごみの処分方法や資源化手段が乏しいことから、一部のコミュニティーでは、住居周辺や海岸にごみが散乱していた。「本来あってはならない物がそこにあるというのを不自然に感じた」
 ごみを拾うのは、自然な流れだった。出身地の目黒区で、「中目黒村美化委員会」として目黒川沿いのごみを住民と一緒に拾っていて、この活動をミクロネシアに持ち込むことにした。
 二〇一八年、「マイクロクリーンアップキャンペーン」と銘打ち、現地の学生や地域住民と一緒に、ごみ拾いの清掃活動を始めた。ミクロネシアの英語読み「マイクロネイジア」とマイクロプラスチックから名付けた。
 最初は三十人程度だったが、たった一時間で四十五リットルのごみ袋が三十袋集まった。「もともと捨てた物がすべて自然にかえるという考えがあり、ポイ捨てが当たり前になっているからではないか」と推測する。
 回数を重ねるうち、日本の大学生と一緒に現地の小学校へ行き、ごみの分別法なども伝授。自分が撮影したミクロネシアの写真を示し、「世界中探しても見つからない手つかずの自然を守って」と訴えている。
 コロナ禍で昨年は渡航がかなわなかったが、活動は継続。「自分たちがどんなに力を注いでもしょせんは部外者。最終的に島の人たちが解決すべき問題ですから」。当事者意識を持ってもらうため、現地の学生にカメラを送り、自分たちの地域のいいところと悪いところを撮影してもらい、発表する機会をつくるという。
 「ファインダーをのぞくと、きっと問題の本質に気づくはず」。カメラマンらしいアイデアで遠く離れた島国のごみ問題に取り組んでいく。(山下葉月)
<みちしろ・まさひろ> 1968年生まれ。目黒区出身。大学卒業後、音楽雑誌の編集者などを経て2008年から水中カメラマンに。「人と自然との関わり方」をテーマに講演活動も行う。月2回、目黒川周辺のごみを拾う「中目黒村美化委員会」の立ち上げ人。

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