オミクロン株警戒、首相が水際対策強化を表明 GoTo再開に暗雲

2021年11月30日 06時00分

岸田文雄首相

◆安倍・菅政権の二の舞いを避けた?

 政府がオミクロン株の急拡大を受けて水際対策の強化を決めたのは、対応が後手に回ったとの指摘が付きまとった安倍・菅政権の二の舞いを避けたかったからだ。ただ、オミクロン株が国内に入り込むのは時間の問題ともいわれ、岸田文雄首相は感染対策と経済再生の両立という難しい課題に向き合うことになる。
 首相は29日、外国人の新規入国停止を表明した際に「未知のリスクには慎重の上にも慎重に対応すべきだ。『岸田は慎重すぎる』という批判は、全て負う覚悟でやっていく」と強調した。
 国内の感染状況が落ち着く中、過度な規制は経済に冷や水を浴びせる可能性がある。それでも厳しい措置を選んだのは、楽観的な見通しで後手に回れば、政権運営が行き詰まりかねないと考えたからだ。官邸幹部は「ワクチンの有効性に関する製薬会社の分析を待って対応を判断したら、最悪の結果になる」と話す。

◆観光業界が「Go To」早期再開を要請

 コロナが国内で初めて確認されて以降、政府対応は「及び腰」と指摘されてきた。安倍晋三元首相は昨年3月、中国の習近平国家主席の訪日延期が決まるまで中国全土からの入国拒否を決断せず、菅義偉前首相は今夏の東京五輪・パラリンピックを緊急事態宣言中に開催し、各国の選手団を受け入れた。一連の対応は国民の健康や安全を軽視していると批判を浴び、内閣支持率の急落につながった。
 2人を反面教師に、首相は「最悪の事態を想定する」と危機管理重視の姿勢をアピール。自民党中堅議員は、来夏に控える参院選を踏まえ「ここで対応を間違えると大変なことになる。安全運転せざるを得なかったのだろう」と推し量る。
 ただ、「特段の事情」があれば入国停止の例外扱いになることなどから、自民党内には「詰めが甘い」(佐藤正久外交部会長)と、より強い措置を求める声もある。
 一方、日本観光振興協会の幹部らはこの日、首相に業界の窮状を訴え、観光支援事業「Go To トラベル」の早期再開を要請した。経済と感染状況をにらみながら、首相が重大な判断を迫られる局面が続く可能性もある。(山口哲人)

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