アイデア道具で野球上達!? 元球児社長の野球愛カタチに 足立のメーカー「目指すは変態的商品」

2021年11月30日 07時04分

アイデアを具現化した「変態的」な数々の商品=いすれも足立区で

 パートナー不要、省スペースで最大限の効果を出す−。そんなコンセプトで独創的な野球道具を作るメーカーが足立区のフィールドフォースだ。素振りの質が向上したり、正しい投球フォームに導く商品の数々に、元球児の記者も思わずうなった。「これがあればもっとうまくなれたのに…」
 「野球を取り巻く環境は問題だらけ。どう克服するかがアイデアの源だ」。斬新な商品を連発する社長の吉村尚記さん(46)は話す。
 子どもからプロまでやっている素振りも「惰性で振っても意味は無い」。七万台以上売れたヒット商品「スウィングパートナー」を見せてもらった。

ミートポイントが分かりやすい打撃練習グッズ「スウィングパートナー」

 一見、ホームベースに取り付けた棒の上に球を置いた普通の「ティー台」だが、大きく異なるところがある。球を置く棒はベース上ではなくベース手前にあり、可動式。棒の先には球に見立てたゴム板を取り付けた。これにより、打撃の基本「体の前で打つ」ためのミートポイントを意識しながら一人で繰り返し練習できる。棒の高さを変えられるので内外角、高低とコース設定も自在。
 ほかにも投げたボールがランダムに跳ね返り、ノックの代わりになるネットなど、数々の商品がプロ球団や社会人野球の名門チームに採用されている。

吉村尚記社長

 吉村さんも元球児。強豪高校で捕手を務め、大学卒業後はグラブ製造会社に就職。営業職として大手ブランドのグラブ製造に携わった。
 当時五歳の長男が地元・葛飾区の少年野球チームに入ると、問題点に気付いた。道具の高価格化、練習場所不足、競技人口の減少…。「このままでは野球は衰退する。少年野球の底上げをしないと野球界は発展しない」。十年務めた会社を辞め、二〇〇六年にフィールドフォースを立ち上げた。
 設立当初、スウィングパートナーなどいくつかのアイデアを商品化したが、主力は大手スポーツ用品店のプライベートブランド(PB)商品の製造だった。
 業績は好調でも達成感は少なかった。原点に立ち返るべく、PB商品の製造をすべて断り、自社ブランドの商品開発に注力した。
 掲げた目標は「毎月、最低でも三つの新規アイテムを発売すること」。息子のチームでコーチを務めながら、練習で気付いた問題点をメモ。社内からも意見を募った。少年野球の現場で得たヒントを基に「かゆいところに手が届く、変態的な商品」を目指し、次々に商品化した。
 絶大な広告効果はあるが経費もかかるプロ選手への商品提供やスポンサー契約を結ばないことで、価格を抑えている。「経済的理由で野球を断念する子を一人でも減らしたい」からだ。
 肩と頭と腕にボールを挟むことで正しい投球フォームが身につく「スローイングパートナー」。野球に不慣れな人でも球出しができるティー棒。少年野球のストライクゾーンに合わせたネット。これまで生みだした商品は四百点を数える。

正しい投球フォームが身につく「スローイングパートナー」

 投げて、打って、走る野球は、子どもには難しいスポーツだという。「でも、あきらめたら終わり。うちの商品で上達し、『努力は裏切らない』ことを知ってほしい。社会に出た時に絶対に役に立つ」。八歳以下を対象に、握力が弱くても使いやすいグラブ千個を抽選でプレゼントする「グリーングラブ・プロジェクト」も立ち上げた。
 商品は主に同社ホームページで販売。直営の屋内練習場「ボールパーク足立」で試すこともできる。グラブの応募方法も同社ホームページ参照(十二月十三日まで)。

フィールドフォースが運営する屋内練習場「ボールパーク足立」

 文・西川正志/写真・池田まみ
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