20年以上前から「横流し」 職場で引き継ぎも…冷凍カツオ窃盗事件、漁協組合長「全く知らなかった」

2021年11月30日 12時00分
記者会見で頭を下げる焼津漁協の西川角次郎組合長(左)ら=29日、静岡県焼津市の焼津漁協で

記者会見で頭を下げる焼津漁協の西川角次郎組合長(左)ら=29日、静岡県焼津市の焼津漁協で

 静岡県焼津市の焼津港で水揚げされた冷凍カツオの窃盗事件を巡り、焼津漁協が設置した調査委員会が報告書をまとめ、29日に公表した。漁協職員や水産加工会社元社長ら7人が逮捕、5人が起訴された今回の窃盗事件のほかに、漁協職員が関与するカツオの抜き取りが複数確認された。漁協は、少なくとも20年ほど前から慣習的に抜き取りが行われ、関与した職員の多くが業者らから報酬を受け取っていたことを認めたが、組織的な関与は否定した。(板倉陽佑、三沢聖太郎)
 報告書によると、今回の事件のほかに、9事案の抜き取りを確認。関与したのは多くがカツオの計量を担当する若手職員で、水産加工会社や運送会社の運転手などから持ちかけられ、少なくとも20年前から行っていた。月に5万~10万円を報酬として受け取っていたケースもあった。
 職場で引き継がれていたこともあったといい、漁協の顧問弁護士は「職員が抜き取りの誘いを受けた際、(幹部に)相談できる状況ではなかった。『隠蔽体質があった』と証言する複数の職員もいる」と指摘。調査委は「犯罪に当たる、または社会通念上不適切なものという意識が希薄化、欠如している」と批判した。
 会見した西川角次郎組合長は「全く知らなかった」と上層部の関与を否定。「長年にわたって不適切な行為があった。今後、失われた信頼を取り戻すために全力で再発防止に取り組む」と謝罪した。
 漁協は、逮捕された職員や、新たに確認した9事案の抜き取りに関与した職員の処分を検討する。船会社や水産加工会社なども加わる委員会で再発防止策を検討し、職員教育を再徹底する。近日中に船会社に対し、合同説明会も開く。
 報告書の提出を受けた県は「内容を精査し、今後、焼津漁協がどのような措置を講じるかを見て、必要に応じて指導などの措置を講じていきたい」と話した。
 職員の逮捕を受け、漁協は10月12日に顧問弁護士など6人でつくる調査委を設置。全職員とOB計124人を対象に聞き取りやアンケートをしてきた。
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