<社説>ロシア軍が集結 軍事衝突になりかねぬ

2021年12月1日 07時51分
 偶発的な軍事衝突を引き起こしかねない懸念が募る。ロシアがウクライナ国境地帯に大規模な兵力を集結させている。対立するウクライナを脅かす挑発的な行動は即刻やめるべきだ。
 ウクライナ側は動員されたロシア軍の規模を九万人規模としている。ロシアは今春にも十万超とみられる部隊をウクライナ国境付近に配置したことがあった。 
 欧米は二〇一四年のロシアによるクリミア併合のような事態が繰り返されるのを懸念し、軍事侵攻しないようロシアに警告している。米国はウクライナへの武器の追加供与へ動きだした。
 対するロシアは部隊集結を否定する。プーチン大統領は欧米のウクライナへの軍事支援や、クリミア近くの黒海で行った軍事演習が緊張を高めている、と逆に西側を批判する。
 ロシアは旧ソ連圏を自分の勢力圏と見なす。民族的、歴史的につながりの深いウクライナは中でも核心地域だ。それだけに欧米がウクライナに介入するのは許容できない。ロシアにとってウクライナは欧米が越えてはならない一線、いわゆるレッドラインである。
 ウクライナ東部では親ロシア派武装勢力とウクライナ軍の武力衝突が絶えず、和平協議は手詰まり状態だ。
 そんな中でのロシア軍集結は、欧米志向のゼレンスキー・ウクライナ大統領への圧力とともに欧米への強い警告である。プーチン氏は「西側はわれわれのレッドラインを表面的にしか見ていない」と言う。われわれの覚悟を見くびるな、と言いたいのだろう。
 ロシアは東アジアでも軍事活動を活発化させている。十月にはロシアと中国の軍艦合わせて十隻が津軽海峡、大隅海峡を通航して日本列島をほぼ周回する示威行動を行った。地域に緊張をもたらす振る舞いは慎むべきだ。
 ウクライナ情勢の緊迫化を受けて米ロ両国の首脳が近く会談する見通しだ。一致点を見いだして最悪の事態を回避してほしい。

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