歩行者の事故 「手上げ横断」で防止

2021年12月1日 09時15分

交通安全イベントで、手上げ横断について学ぶ参加者(左から2人目)=愛知県設楽町で

 きょうから師走。日没が早まり、高齢者や子どもを中心に歩行者が交通事故に遭いやすい時期がやってきた。特に危険なのが、道路を渡るとき。ドライバーが注意するのはもちろんだが、歩行者が自分の存在や意思をアピールすることも大事だ。「手上げ横断」を徹底して安全を確保しよう。 (植木創太)

◆「交通教則」に復活

 「手を上げて横断歩道を渡りましょう」。子どもの頃、こう教えられた人も多いだろう。ただ、国家公安委員会が交通マナーをまとめた「交通の方法に関する教則」では、この「手上げ横断」が一九七八年に削除され、信号機のない横断歩道を渡る際は「車が通り過ぎるまで待つ」ことなどが推奨されてきた。
 今年四月、教則が改正され、「横断するときは、手を上げるなどして運転者に対して横断する意思を明確に伝えましょう」と、手上げ横断を促す内容が四十三年ぶりに復活した。各自治体も再び、手上げ横断の啓発活動に力を入れている。
 背景には、歩行者の死亡事故が目立つ現状がある。警察庁によると、二〇二〇年の交通事故の死者数二千八百三十九人の35・3%を歩行者が占めた。そのうち、横断中の事故で亡くなった人は六百五十一人で、その大半が高齢者だった。
 その要因の一つとされるのが、歩行者優先の意識の低さだ。道路交通法は、歩行者が横断歩道を渡ろうとしている場合、車やバイクは一時停止しなければならないと規定。違反すると「横断歩行者妨害」として反則金(六千〜一万二千円)か、罰則(三カ月以下の懲役または五万円以下の罰金)が科される。
 だが、日本自動車連盟(JAF)が八月に実施した調査によると、信号のない横断歩道で一時停止した車の割合は約三割にとどまった。一七年に行ったアンケートでは、停止しない理由として「自分が止まっても対向車が停止せず危ない」「歩行者がいても渡るかどうか分からない」などの回答が多かったという。

◆運転者の目を見る

 手上げ横断のポイントは? 教則改正前の一〇年度から「ハンド・アップ運動」を掲げて啓発を続けてきた愛知県によると大切なのは運転者との意思疎通。横断したいときに手を上げて、運転者に顔を向けて目を合わすようにもすれば、横断の意思がより伝わる。夕暮れ時や夜間は、手首に反射材を付けると、運転者に見つけてもらいやすい。発光ダイオード(LED)のキーホルダーなどを携帯し、手を上げる際に一緒に光らせるのも効果的という。
 横断する直前に、手を上げながら左右をよく確認するのが基本。複数車線にまたがって渡る場合は、道路の中央付近で反対車線側の運転者と目を合わそう。止まった運転者にほほ笑みかけたり、会釈をしたりすると、運転者も気持ちがいい。自分が運転者になった気持ちで、どうすれば気持ち良く止まってもらえるかを考えるのがポイントだ。
 片側車線が渋滞していると、対向車線や追い越し車線を走る車両から見えていない場合がある。手を上げているから大丈夫と油断しないようにしたい。交通安全啓発を担う同県県民安全課の高田恵二さん(58)は「高齢者の事故は自宅から半径五百メートルの場所で起こることが多い。自分にも起こり得るという意識を持ち、恥ずかしがらずにハンドアップを」と呼び掛ける。

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