<特派員の眼>COP26 したたか中国、切実な島国 難解な問題だからこそ正面からの議論を

2021年12月1日 17時00分
11月13日、英グラスゴーでの閉幕会合で、うつむく英国のシャーマCOP26議長=中継映像から・共同

11月13日、英グラスゴーでの閉幕会合で、うつむく英国のシャーマCOP26議長=中継映像から・共同

 英国のグラスゴーで10~11月、国連気候変動枠組み条約第26回締約国会議(COP26)が開催された。新型コロナウイルス禍の中、190カ国以上の代表団やNGO、メディアなど約4万人がかつて産業革命で栄えた街に集った。(ヨーロッパ総局・加藤美喜)

◆舞台裏の取引

 コロナ拡大のリスクを押して議長国英国が成功を目指した会議は、成果文書採択の土壇場で石炭火力を巡る表現が中国、インドの抵抗に遭い、「段階的廃止(フェーズアウト)」から「段階的削減(フェーズダウン)」に弱められた。
 シャーマ議長は中印の修正案を議長案として提示することを拒否し、あえて公開の本会議でインド代表に口頭で読み上げさせたとされる。
 気候変動による海面上昇で国の存亡の機にひんする島嶼とうしょ国のマーシャル諸島、フィジーなどが石炭廃止を切実に訴え、土壇場の不透明な舞台裏取引に強い抗議の声を上げた。しかし、資金支援など他の成果を持ち帰るために、いずれも涙をのんで全会一致の採択に賛成した。

◆インドは悪役か?

 シャーマ議長がこのような展開を「謝罪」し、涙をこらえるように言葉に詰まった場面は、苦渋の決断として繰り返し報道された。本会議でのインド代表のドヤ顔的な表情と対照的だったが、後のインドからの報道によると、文言は米中の擦り合わせによるもので、インドは読み上げただけなのに悪者になったとの不満もあるようだ。実際、土壇場の修正は米中と欧州連合(EU)、英国の4者で決めたとも報じられる。ジョンソン英首相は「大した修正ではない」と述べ、「石炭」の言葉が残ったこと自体が成果だと強調した。
 国際会議における中国のしたたかさや、ある意味での実力を垣間見る一方で、温室効果ガスを散々排出して発展してきた先進国に対する厳しい目も感じた。マレーシアの環境NGO代表は「『先進国の歴史的責任』をなぜ前文に明記しないのか」と抗議。スウェーデンの環境活動家グレタ・トゥンベリさん(18)は、南半球からの代表が少なく「史上最も排他的なCOP」と批判、先進国や化石燃料ロビーらによる「偽善の祭典」だと切り捨てた。

◆「石炭」隠す日本

 温室効果ガス削減問題は日々の生活に直結し、きれいごとでは解決できない難題だ。ガソリン高騰も、化石燃料が悪者となり石油への投資が減っている背景がある。日本は石炭から脱却できない理由を「資源が乏しい島国では単一の完璧なエネルギー源がないから」と説明するが、再生可能エネルギーの導入が進まない理由としてはピンとこない。自国での削減はあきらめ、途上国への投資と引き換えに削減成果をもらう排出量取引に活路を見いだそうとしているようにも見える。
 難題だからこそ、問題点を明確にして正面から向き合い議論する必要があると思うが、日本政府は会議閉幕直後には、「石炭」という文字の扱いについて極めて消極的な態度だった。あの各国の激しいドラマはなかったことなのか。臭い物にふたをするような姿勢では、解決には程遠い。

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