タロットカードの世界 浅草橋に国内初の美術館

2021年12月2日 07時01分

フリースペースでは、サンプル品で占いを試したり、関連書籍を読んだりできる=いずれも台東区で

 19世紀の西欧でつくられた希少品や、著名画家がデザインしたカード−。国内初のタロットカード専門美術館「東京タロット美術館」が11月16日、浅草橋駅にほど近い台東区柳橋のビル内に開館した。タロットカードをアートとして観賞してもらい、「自分との対話を楽しむ空間」を掲げる。約500種の名品が並ぶ神秘的な世界に足を踏み入れた。
 タロットカードの歴史は諸説あるが、15世紀ごろに西欧で始まったとされる。カードは計78枚。そのうち主要な22枚は「大アルカナ」と呼ばれ、「太陽」や「悪魔」、「運命の輪」などといった表題と寓意(ぐうい)画が描かれている。
 入館するとまず、1枚のタロットカードを引かせてもらう。それを、館内で過ごす時の自身のテーマやキーワードにする。
 「もし死に神だったら…」。記者がおそるおそる手を伸ばし、引いたのは「女帝」。「えっ私、強権的な人間なんですか…?」
 22枚の意味が書かれている資料も渡されるが、女性スタッフは「表題の意味を気にする必要はないです。絵からインスピレーションを得てメッセージを読み取ってください」と言う。絵のイメージから自分でストーリーを作って解釈していいそうだ。「『死に神』のカードでも、再生と捉えることもできます」
 館内を見渡すと額やショーケースに収められたカードがずらり。運営会社「ニチユー」(同区)が所有する約3000種のコレクションから厳選したもので、スペインを代表する画家サルバドール・ダリがデザインした品、英国映画「007 死ぬのは奴らだ」(1973年)で登場したカードも=写真(下)。即売展示のスペース、タロット関連の本を並べた図書コーナーもある。
 館内のテーブル席では、販売品のサンプルを並べて占いを試せる。未来や周囲の状況、対策といった知りたい内容に合わせ、3枚を横に並べたり、7枚をダイヤ形に配置したり−。カードの並べ方は何種類もあり、図書コーナーの本を参考にすることもできる。
 ニチユーは、もともと玩具販売会社として戦後に創業。1974年からタロットカードの輸入販売を始めた。同年はホラー映画「エクソシスト」のヒット、超能力者ユリ・ゲラーの来日などにより、オカルトブーム元年と呼ばれる年。新たな占いアイテムとして、タロットカードが浸透した。
 これまで書店でタロット展を開催してきたが、同社社長の佐藤元泰さん(51)は「カードを手掛けたアーティスト一人一人の世界観を伝えたい」と、美術館の開館を思い付いたという。
 事前予約制で、予約を取り始めた11月1日からの約3週間で延べ約1200人から予約が入った。佐藤さんは「新型コロナ禍で人生の不条理にぶち当たる人は多いはず。表面的なことに反応するだけでなく、人類に何が投げかけられているのか読み解くためにも、タロットを自己との対話のツールに生かしてほしい」と語る。今後は、ワークショップなども計画する。

受付でカードを引き、絵柄のイメージから自分のテーマを決めて館内を回るのがオススメ

 入館料は500円。日曜祝日は定休。問い合わせは同館のホームページから。
 文・太田理英子/写真・戸田泰雅
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