「老話」創作 北本の遠藤さん、短編集出版 子どもに童話があるなら、高齢者にも物語を

2021年12月2日 07時13分

高齢者のための「癒しの老話」を自費出版した遠藤さん=北本市で

 「子どものために『童話』があるなら、高齢者のための『老話(ろうわ)』があってもいい」。そう思い立ち、北本市の元団体職員遠藤トク子さん(74)は六十代後半になって初めて物語の創作に挑み、今秋、短編集を自費出版した。高齢者のさまざまな夢や願いを中心にストーリーを紡いだ。(寺本康弘)
 タイトルは「癒(いや)しの老話」(幻冬舎)。亡くなった母にもう一度会いたいと願う老人の夢や、余命わずかな女性がベッドに乗ったまま世界一周する話など、全十編が収められている。
 どの物語も老いや死が身近に描かれながらも、所々にユーモアが交じり、主人公の心残りが解消するため、さわやかな読後感を味わえる。「ハッピーエンドにしたかった」と遠藤さん。人生経験が豊富な高齢者が主な読者層ということもあり、教訓めいた内容にならないようにした。
 遠藤さんによると、高齢者だけでなく四十〜五十代の読者からも感想が届き、「心があたたまる」「死ぬのが怖くなくなった」などの反応があったという。
 創作のきっかけは十年ほど前、故柴田トヨさんの作品に出合ったことだ。九十二歳で詩作を始め、九十八歳で詩集を発表した柴田さんの生き方に触発された遠藤さんは、自分も何か表現したいと考えた。そんな時、地元の市民文芸誌「むくろじ」(北本市教育委員会発行)の作品募集を知った。物語を作ったことはなかったが、文章を書くことは小さいころから好きだった。数カ月かけて二編を初投稿。その後も投稿を続け、今回の短編集では投稿した作品と新作を加えて出版した。
 遠藤さんは老話を通じて「老いや死を同じ高齢者とともに分かち合いたい」という。「どう老いていくのかは自分自身でも悩ましい。でも命ある限りは頑張っていこうと思う」と話している。七十五歳すぎに二作目を出版することが今の夢だ。
 四六判百二ページ。千百円。電子書籍(八百八十円)もある。

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