準備遅れる福島第一原発の処理水海洋放出 「年内に設備計画の申請を」規制委員長が東電に要求
2021年12月2日 19時17分
原子力規制委員会は2日、東京電力福島第一原発(福島県大熊町、双葉町)を視察し、汚染水を浄化処理した水(処理水)の海洋放出に向けた設備予定地の状況を確認した。取材に応じた更田豊志 委員長は、東電と政府による地元への説明が難航し、準備が遅れていることについて「(2023年春の)放出開始を考えると、かなり苦しい時期に来ている。東電には年内に設備計画を(規制委に)申請するよう求めた」と明らかにした。
規制委は5号機東側の海沿いにある港湾部などを視察。本紙は同行取材した。処理水を海水を混ぜて一時的にためる立て坑の建設地には、数台の重機が置かれ、作業員らが慌ただしく行き交っていた。十数メートル四方の穴を掘るなどの準備工事が、今月上旬から始まる。
処理水は立て坑から海底トンネルを通じて沖合約1キロの海底へ放出する計画。トンネル建設に向けた海底調査は当初予定より2カ月以上遅れ、11月27日に始まった。港湾内には、海底の掘削(ボーリング)調査に使う台船もあった。
海洋放出には漁業関係者を中心に反対の声が強く、政府の方針決定から7カ月以上たっても、東電は設備計画を申請できていない。更田氏は視察後、「東電の発信が信頼されていない。政府の努力も必要だ」と指摘した。(小野沢健太)
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