トイプードルが行方不明者を捜索へ 警察犬も「多様性」?チワワもミニチュアダックスも

2021年12月3日 06時00分
 警察犬といえば屈強なシェパード、と思い浮かべがちだ。ところが最近はそうではない。岡山県警でトイプードルが警察犬の審査に合格し、1日にお披露目された。チワワやミニチュアダックスフントなども警察犬として活動する。シェパード一辺倒から変わりつつある警察犬。ここでも「多様性」が進んでいるのか。(古川雅和)

◆岡山県警のハンナちゃん、審査1発合格

 岡山県警の警察犬になったのは6歳6カ月のメスのハンナちゃん。同県警でトイプードルが警察犬になるのは初めてだ。来年1月1日から2年間、行方不明者の捜索を担う。

岡山県警の嘱託警察犬として採用が決まったトイプードルのハンナちゃん(岡山県警提供)

 飼い主の井上暢恵さんのところでは、6歳のラブラドルレトリバーも2018年から嘱託犬として活動中。ハンナちゃんは訓練を見ているうちにやることを覚えて、1回目の審査会で見事に合格した。
 鋭い嗅覚を生かして行方不明者や遺留品を捜索したり、犯人の追跡、時には犯人の逃走も防ぐ警察犬。警察が飼育する直轄犬と、ハンナちゃんのように普段は一般家庭で過ごし、警察の要請があれば出動する嘱託犬がいる。
 警察庁によると、20年12月末時点で全国の警察犬は1300匹。うち直轄犬は157匹だけ。警察犬全体の約8割がシェパードで、他もほとんどが大型犬だ。やはり、大型犬が向いているのか。
 犬の訓練や訓練士を養成するオールドッグセンター全犬種訓練学校(埼玉県ふじみ市)の藤井聡さんは「警察犬としてシェパードは総合的に一番いい。他の犬種よりも訓練に耐えられる」と評価した。ただ、両親がしっかりと訓練を受けていなければ、警察犬として育たないこともある。

◆大切なのは、ほめること

 一方、小型犬は「強制すると意欲が減退する」ものの「ほめたり、ごほうびで喜ばせること」で、訓練を進めることができる。
 藤井さんは、能力が高く適切に訓練をすれば、サイズを問わずに警察犬になれるという。育成のこつは「押しつけるのではなく、犬たちの意欲をかき立てること。強制的に訓練をしては絶対にいけない」
 岡山県警の34匹の嘱託犬も、16匹のシェパードを筆頭に大半が大型犬。4匹の直轄犬も大型犬だ。
 そこで小型犬を採用したのは、大型犬では入ることができない狭い場所や家屋の倒壊現場で捜索するため。鑑識課の大森保次長は「最近、行方不明者や自宅から老人がいなくなったということが増えている。足跡をたどる嘱託犬は重要になっており、ハンナちゃんの活躍にも期待している」と話している。

◆小型犬「広報イベント引っ張りだこ」

 小型犬は他県でも嘱託犬になっている。奈良県警ではメスのチワワの桃ちゃんが11~12年の2年間、活動した。熊本県警ではメスのミニチュアダックスフントのミキティちゃんが14年から活動中。トイプードル2匹も嘱託犬になっている。
 ただ、小型犬はその能力を求められながらも事件・事故現場への出動がほとんどない。「今のところ、広報イベントが活動の中心になっている」(熊本県警)、「警察の広報イベントに引っ張りだこになった」(奈良県警)と、マスコット的な存在になっている。
 小型の警察犬は増えていくのか。前出の藤井さんは「小型犬は事件を捜査していても目立たないし、周囲の人も警戒しない」と、利点を挙げた。大型犬の飼育数は減っており、嘱託犬が支える警察犬の多様化はこれからも進みそうだ。
 とはいえ、藤井さんは「小型犬は大型犬より体力がなく、捜索の意欲も大型犬の方が長続きする。飼育数が減っても、大型犬は警察犬の中心であり続けるだろう」と話した。

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