オミクロン株、既存のワクチンは有効なのか…分析期間の感染抑止がカギ 勝負の2週間

2021年12月3日 06時00分
 成田空港の検疫で新型コロナの新変異株「オミクロン株」感染が確認された2人は7月と10月、それぞれモデルナ製とファイザー製ワクチンの2回接種を終えていた。ワクチンとともに社会経済活動の再開に踏み出したところに登場した新変異株の脅威。ワクチンの有効性の分析には約2週間が必要といい、その間、いかに感染を抑え込むかがカギとなる。(沢田千秋、池田悌一、原田遼)

◆想定外の変異株

モデルナ製の新型コロナワクチン

 「デルタ株と同レベルの効果ではないと思う」。モデルナのステファン・バンセル最高経営責任者(CEO)は、オミクロン株への同社のワクチン効果について、11月30日の英紙フィナンシャル・タイムズに語った。大きな理由は、人の細胞と結合するスパイクタンパク質にある30以上の変異。ワクチンはスパイクタンパク質を標的としているため、効果の低下が懸念される。
 バンセル氏は「1、2年は、これほどの変異株は現れないと思っていた。ワクチンがオミクロン株にどう作用し、重症化を防ぐかは、2週間以内に明らかになる」と話した。

ファイザー製の新型コロナワクチン=AP

 ロイター通信によると、ファイザー製もオミクロン株に対して抗体が機能するか、約2週間の実験中。結果次第で、新しいワクチンの必要性が判明する。

◆由来はどこに…

 30以上もの変異を持つオミクロン株はなぜ生まれたのか。最初の報告は南アフリカだが、実際の発現場所は不明だ。国立感染症研究所の脇田隆字所長は「免疫不全の患者の体内でウイルスが長期間感染している中で、変異が多く入ると言われる」と説明。医療体制が脆弱な上、ワクチン接種率が低い場所で、生まれた可能性を指摘する。
 その変異の特徴については、厚労省に助言する専門家組織「アドバイザリーボード」の1日の会合でも「感染性は高いだろう」との見解にとどまる。確かなのは、南アでデルタ株からの置き換わりが進んでいることだけだ。重症度やワクチンの重症化予防効果が通用するかについては、世界的にもデータが少なく解明されていない。
 厚労省によると、国内でオミクロン株への感染が確認された2人は2日現在、軽症だという。

◆徹底した監視と封じ込め

国内で感染者が確認された「オミクロン株」について記者会見をする国立感染症研究所の脇田隆字所長(右)=30日、厚労省で

 英国で見つかったアルファ株もインドで見つかったデルタ株も、正体不明のまま国内への流入を防げず、感染拡大を招いた。今回も同じ道をたどらないか。
 「感染研はオミクロン株に対し、どう役割を果たすのか」。11月30日の記者会見で問われた脇田氏は「病原性、感染性、ワクチンの感受性の変化をしっかり分析する。検査態勢の構築も感染研の仕事」と明言した。
 具体的には、検疫での陽性検体は全て、感染研がゲノム(全遺伝情報)解析しオミクロン株流入を監視。国内での感染者の検体は、都道府県などと協力し、全ゲノム解析に努める。また、今後の感染者数の増加に備え、数時間でオミクロン株を検出できるPCR検査手法の確立も急ぐ。
 オミクロン株感染者やその疑いがある人は全員、医療機関の減圧管理された個室で隔離されることも決まった。オミクロン株の特徴が見えてくるまで2週間、徹底した監視、封じ込め体制を敷く構えだ。

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