<社説>預託商法の禁止 抜け穴許さぬ運用こそ

2021年12月3日 07時20分
 これまでに一兆円以上の被害を生んだ販売預託商法を原則禁止する改正預託法が、来年六月までに施行される。画期的な改正だが、抜け穴を危ぶむ声もある。関連法の拡充や綿密な運用を望みたい。
 販売預託商法は業者が顧客に商品を販売すると同時に預かり、第三者に貸すなどして得た利益を顧客に配当する仕組み。だが、実際には商品も運用もなく、高い利率や元本保証の口上で誘い、多額の金銭をだまし取るケースが多い。
 一九八〇年代の豊田商事では二千億円、和牛オーナー商法の安愚楽牧場では四千二百億円、磁気治療器のレンタル事業を掲げたジャパンライフ=写真=では二千億円と消費者被害が繰り返された。
 旧預託法では対象とする商品は政令で限定され、業者の参入規制もないなど実効性に欠けた。
 改正預託法では販売預託取引を原則的に禁止。例外は勧誘と契約時に消費者庁の審査を通った場合のみで、対象物品も限定しない。罰則も「五年以下の懲役か五百万円以下の罰金」に引き上げられ、犯罪収益の没収も可能にした。
 参入の入り口を狭め、商品の対象を広げ、厳罰化も準備した今回の改正を評価したい。しかし、それでもまだ完璧とはいえない。
 例えば、販売預託商法の定義に「預託期間が三カ月以上」と示した点だ。加工食品のオーナー制度を展開し、一千億円の被害を出して破産したケフィア事業振興会の場合、商品の預託期間が明らかではなく、改正法は適用できない。
 物品以外にも、スポーツ施設の使用権などの「権利」も預託商法の対象になる。こうした物品以外の対象についても、漏れがないように運用することが肝心だ。
 ちなみにこうした悪徳商法への対応は、扱う対象によって役所が異なる。預託法は消費者庁、金融商品取引法は金融庁、不動産特定共同事業法は国土交通省という具合だ。縦割り行政が隙間を生んでいないか。精査すべきだ。
 悪質業者は必ず抜け穴を探す。この低金利時代に出資者を募ること自体が怪しい。「うまい話をうのみにしない」という消費者の姿勢が何よりの予防策となる。

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