UBERならぬGBER(ジーバー)好調 世田谷区が導入 シニアが続々就業マッチング

2021年12月3日 17時00分
 シニアの求職者と地域の事業者を結び付けるマッチングサイト「GBER(ジーバー)」が好調だ。東京都世田谷区が導入し今年、就業者第1号が誕生。その後もジーバーを活用し就業を決める人が相次ぐ。地域の介護や保育、建設の事業者らがシニアの働きがいを引き出した。「世田谷モデルに続け」と東京都八王子市や福井県もジーバー導入を決めた。(久原穏)

GBER 東京大先端科学技術研究センターが開発、千葉県柏市や熊本県が導入済み。GBERは「Gathering Brisk Elderly in the Region=地域の元気なシニアを集める」の頭文字。

◆「地域のために働きたい」

 「ウィ、ウィーン」
 鋭いモーター音とともに15センチ四方ほどの小型ドローンが宙に浮くと、緊張気味に操縦していた人たちから、笑みがこぼれた。
 世田谷区代沢にある建設会社「小熊建設」の本社前。ジーバーを通じた就業の体験会に、シニアの男性3人、女性2人が集まった。

建設会社の担当者(左)の指導の下、小型のドローンを操作する参加者たち=東京都世田谷区で(一部画像処理しています)

 同社は免許が不要の軽量ドローンを使い、空撮で住宅の屋根診断を行う。最近、区内で高齢者世帯をターゲットにした住宅の屋根修理の訪問営業が増加。「本当に修理が必要なのか」といった相談が寄せられるようになった。
 「シニアの空撮担当者を雇えば、高齢のお客さまも、より安心して相談に来られるのでは」と、小熊大作社長はジーバーでの求人を出した狙いを話す。地上から見えにくく、必要性が判断しづらい屋根の修理を促す悪徳業者から住民を守り、シニアの仕事も生むアイデアはこうして生まれた。
 体験会に参加した区内の和田洋子さん(60)は、子育て後から、20年間働いた流通業の職場を退職したばかり。「『ボランティアのように働きたい』とジーバーに登録し、この仕事を知った。面白いし地域のためにやってみたい」。同社は区内数カ所にシニアの空撮担当を置く予定だ。

◆長年培ったスキル活用

 「シニアの働き手にも事業者や地域にも、メリットをもたらそう」というのが世田谷区の事業だ。シニアの経験やスキル(技能)を生かす仕事も増えてきた。

制作した保育園駐車場用の看板を手渡す山脇さん(右)=世田谷区内で(山脇さん提供)

 同区南烏山の烏山杉の子保育園。「駐車場の案内看板を作って」との求人に応えたのは同区のグラフィックデザイナー、山脇浩子こうこさん(59)だ。無味乾燥になりがちな看板にブドウやツバメ、魚などのイラストをあしらい「土の香りがする園の雰囲気に合わせた作品」(山脇さん)に仕上げた。
 洋裁のスキルを生かしたいと、介護施設職員らの衣類を繕う仕事を選んだのは同区の縫製業、中嶌君子さん(71)。「人と触れ合うのが好きで『何か人の役に立てたら』と…。ホテル観光業の職業訓練を受けた経験もあるので、シーツ交換のお手伝いも検討したい」と意欲を示す。
 ただ、ジーバーを活用した仕事はまだまだ「単発」が多く、高度な技量を求める業務は少ないのが実情。今回、保育園の案内看板を作った山脇さんは「できれば継続的な発注や、プロ向きの仕事もあるとうれしい」と今後に期待した。

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