AIで飲食店の来客予測 脱「なんとなく」食品ロス削減も<まちビズ最前線> 

2021年12月5日 05時50分
 飲食店などで勘や経験に頼っていた来客数の予測に、人工知能(AI)を活用する動きが広がっている。天気や最近の客足などを分析し、AIが予測値をはじき出す仕組みだ。作りすぎによる食材廃棄の削減だけではない、開発者が語るAIの真価とは。(石川修巳)

客数予測を活用した混雑予想カレンダー(ROX提供)

◆スタッフの人数調整に活用

 築地本願寺(中央区)境内にあるプロントコーポレーションの「和カフェTsumugi」は、朝食メニューの時間帯にAIを導入している。
 看板料理は「18品の朝ごはん」。おかゆとみそ汁、それに16個の小鉢がおぼんにずらり。「インスタ映えする」と人気を集める半面、スムーズな提供のために小鉢を準備しておく必要があるという。

AIを活用した客数予測について話す金井公輔副店長=中央区の築地本願寺で

 電話予約に加え、当日席もある。「天気が悪いと客足は鈍る」などの経験則はあるものの、金井公輔副店長は「つまり『なんとなく』でした」と明かす。
 今年6月のAI導入から5カ月。予測値がピタリとはいかないまでも「最近は実数の近似値になり、食材ロスも8割削減できた」。45日先までの予測機能を活用し、スタッフの人数調整にも役立てている。

◆「密」回避の混雑予測も

 このAIを開発した「ROX」(港区)の創業者、中川達生さん(41)は「勘や経験則、職人芸の形で、ベテランに蓄積されているノウハウをAIとして残したい、というニーズは強い」と説明。その一つが客数予測で、新型コロナ禍では「密」を避ける混雑予測にも応用されている。
 予測には「カレンダーを徹底的に分析する」と語るように、平日や休日、気象状況、給料日前後など過去数年分のデータから、AIがパターンを見つけ出す。「客数予測の精度は平均80~90%」と中川さん。直近のトレンドもAIが学習し、精度を上げるという。

「AIを働き方改革のツールに」と語るROX代表の中川達生さん=川崎市中原区で

 ROXは2015年創業。仕事でうつ病を患った親友の死が、起業のきっかけだった。「めちゃめちゃ悲しくて」。データ解析の技術を生かし、当初はメンタルヘルス分野を目指したが、客数予測に活用すると、そこにニーズはあった。
 最近は、販売時点情報管理(POS)レジへの客数予測機能の導入や、需要に応じて価格を変動させる「ダイナミックプライシング」など、AI活用の場は着実に広がっている。
 中川さんは言う。「AIの予測精度や使い勝手をより良くして、人間の働き方改革のツールとして社会に貢献したい。それこそがAIの価値ですから」

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