<全文>岸田文雄首相の所信表明演説 第207回臨時国会

2021年12月6日 14時36分

 八 外交・安全保障

 「新しい資本主義」の前提は、国民の安全・安心、我が国の国益を守る外交・安全保障です。
 そのためにも、できるだけ早期に訪米して、バイデン大統領と会談し、インド太平洋地域、そして、国際社会の平和と繁栄の基盤である日米同盟の抑止力・対処力を一層強化していきます。
 さらに、ASEANや欧州などの同志国と連携し、日米豪印も活用しながら、「自由で開かれたインド太平洋」の実現に向けた協力を深めていきます。岸田内閣が重視する、自由、民主主義、人権、法の支配といった普遍的価値やルールに基づく国際秩序の維持・強化について、国際的な人権問題への対処を含め、しっ かりと取り組む覚悟です。
 日米同盟の抑止力と普天間飛行場の危険性の除去を考え合わせたときの唯一の解決策である辺野古移設を進め、普天間飛行場の一日も早い全面返還を目指します。丁寧な説明、対話による信頼を地元の皆さんと築きながら、沖縄の基地負担軽減に取り組みます。あわせて、強い沖縄経済を作るための取組を進めます。
 我が国を取り巻く安全保障環境は、これまで以上に急速に厳しさを増しています。経済安全保障や、宇宙、サイバーといった新しい領域、ミサイル技術の著しい向上、さらには、島嶼防衛。こうした課題に対し、国民の命と暮らしを守るため、いわゆる敵基地攻撃能力も含め、あらゆる選択肢を排除せず現実的に検討し、スピード感をもって防衛力を抜本的に強化していきます。このために、新たな国家安全保障戦略、防衛大綱、中期防衛力整備計画を、概ね1年をかけて、策定します。
 「核兵器のない世界」に一歩でも近づくことができるよう、核兵器国と非核兵器国の信頼と協力の上に、現実的な取組を進めてまいります。このために、まずは、来月の核兵器不拡散条約運用検討会議の成功が重要です。意義ある成果を出せるよう、米国をはじめ関係国と連携しながら、積極的な役割を果たしていきます。
 TPPの高いレベルを維持しながら、その着実な実施と拡大や、デジタル時代の信頼性ある自由なデータ流通、「DFFT」の実現に向けた国際的なルールづくりを通じ、我が国の安全と繁栄に不可欠な、自由で公正な経済秩序を構築し、世界経済の回復、新たな成長を後押しします。
 拉致問題は最重要課題です。全ての拉致被害者の一日も早い帰国を実現すべく、米国をはじめ各国と連携しながら、あらゆるチャンスを逃さず、全力で取り組みます。私自身、条件をつけずに金正恩委員長と直接向き合う決意です。日朝平壌宣言に基づき、拉致、核、ミサイルといった諸懸案を包括的に解決し、不幸な過去を清算して、日朝国交正常化の実現を目指します。
 近隣国との間でも、国益に基づき、この地域の平和と安定を目指して、確固たる外交を展開してまいります。中国には、主張すべきは主張し、責任ある行動を強く求めつつ、共通の課題には協力し、建設的かつ安定的な関係の構築を目指します。ロシアとは、領土問題を解決し、平和条約を締結するとの方針の下、日露関係全体の発展を目指します。重要な隣国である韓国には、我が国の一貫した立場に基づき、引き続き適切な対応を強く求めていきます。
 「国民の理解や、後押しのある外交・安全保障ほど強いものはない」。4年8か月外務大臣を務めた経験から、強くそう感じています。私は、国民の皆さんに対し、丁寧に説明を行い、できるだけ多くの方々の理解を得るための努力を尽くし、「国民と共にある外交・安全保障」を進めていきます。
▶8ページ目 九 災害対応へ続く

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