「財政支出は躊躇なく」…消えた「歳出改革」 政府、来年度予算編成の基本方針決定 財政審は財政再建要求

2021年12月3日 21時11分
経済財政諮問会議であいさつする岸田首相。左は山際経済再生相、右は鈴木財務相=3日、首相官邸で

経済財政諮問会議であいさつする岸田首相。左は山際経済再生相、右は鈴木財務相=3日、首相官邸で

 政府は3日、来年度予算編成の基本方針を閣議決定した。新型コロナ対策に向け「危機に対する必要な財政支出は躊躇ちゅうちょなく行い、万全を期する」と記載。「経済あっての財政であり、順番を間違えてはならない」とも明記した。例年盛り込まれてきた「歳出改革」の表現は消え、積極的な財政支出の姿勢を明確にした。(森本智之)

◆普通国債残高は年度末に1000兆円

 新型コロナ対応のため、昨年度は3度の補正予算で73兆円の歳出を追加。岸田政権初の予算として、11月に閣議決定した本年度の補正予算も補正として過去最大の35兆円に達した。普通国債残高は本年度末に1000兆円を突破する見通しだが、財政再建は後回しになる。
 欧米など先進国ではコロナ禍で進んだ格差是正の目的もあり、富裕層などへの課税を強化することで財政再建を進めるが、日本ではこうした動きは鈍い。

◆政府方針と食い違う財政審の意見書

 一方、財務相の諮問機関、財政制度等審議会(財政審)は3日、来年度予算編成に向けた建議(意見書)をまとめた。現在の新型コロナ対策の大規模な財政支出について「戦後最大の例外」と強調。今後、経済活動の正常化に合わせ「例外」から脱却し、財政再建に取り組むよう求めた。
 財政審の建議は、財政再建をコロナ対応と「両立可能」と主張。「順番を間違えてはならない」として、財政再建を後回しにする岸田文雄首相の方針との食い違いを見せた。
 この点について、財政審委員の増田寛也氏は記者会見で問われたが、「短いフレーズでどちらが先、どちらが後と言うのは誤った形で財政審の立場を伝えることになる。総理の発言がわれわれの立場とどう食い違うかは、なかなかコメントできない」と述べるにとどまった。

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