織物の街、八王子伝える 来年解体の旧工場でイベント

2021年12月4日 07時12分

かつての織物工場を見学する参加者=いずれも八王子市で

 八王子市中野山王の旧織物工場で三日、織物の街として発展してきた市の歴史に触れるイベント「街と織物」が始まった。工場には忙しく動いていた織機や女性工員たちの生活の痕跡が残るが、市の区画整理事業に伴って来年二月までに取り壊される。イベントは二十六日まで。既に予約は埋まっているが今後、追加予約も検討するという。(布施谷航)
 養蚕と織物で発展してきた八王子の歴史をつなぐ日本遺産認定ストーリー「霊気満山 高尾山〜人々の祈りが紡ぐ桑都(そうと)物語〜」への関心を深めてもらおうと、日本遺産「桑都物語」推進協議会が主催。繊維の街の趣を残す中野山王で、繊維関連のものづくりを継承するグループ「つくるのいえ」が委託を受け企画した。
 会場となった旧工場は日本遺産の構成文化財ではないものの、戦前から組みひも工場として稼働。後に織物工場となり、閉鎖された二〇〇八年まで操業していた。元経営者の親族が手入れを続け、往時の面影が残る。この日はグループのメンバーが、織機十台や経糸を作る機械を前に織物を造る工程を参加者に紹介。女性工員が雑魚寝していた部屋や、経営者が暮らした母屋も案内し、八王子の繊維文化を解説した。

かつて女性工員が雑魚寝していた部屋

織物工場として使われていた建物

 メンバーは元女性工員へのインタビューを基に彼女たちの生活の一端を紹介。女性たちは「週末にデートするのが楽しみだった」「社員旅行で都心まで連れて行ってもらった」と話したと言い、参加者は興味深そうに工場を見回していた。四十代の女性は「大きな機械がいくつもあって織物の街を実感できた」と話した。
 グループ主宰の奥田博伸さん(42)は「長い歴史を刻んできた工場が閉まる。『鎮魂祭』のようなイベント」と話す。今後、工場で音楽イベントを開く。解体後の来年三月にはVR(仮想現実)の映像を使ったライブラリーも開設する。織機には保存の話もあるという。
 イベントは二十六日までの金、土、日曜日の午前と午後に開催。追加予約の有無など詳細は公式サイト(https://1920041.com/machi)で。 

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