担当部内で盛り土の危険性引き継がれず 元幹部ら証言 熱海の土石流災害から5カ月 

2021年12月4日 11時27分
盛り土が崩れ、土石流が最初に発生したとみられる現場付近(本社ヘリ「まなづる」)=静岡県熱海市伊豆山付近

盛り土が崩れ、土石流が最初に発生したとみられる現場付近(本社ヘリ「まなづる」)=静岡県熱海市伊豆山付近

 静岡県熱海市の大規模土石流から5カ月となった3日、地域復興に取り組む地元住民らが、被災した同市の伊豆山地区に常設の献花台を置いた。また、県警の機動隊員らが行方不明となっている太田和子さんを一斉捜索した。盛り土を含む大量の土砂が家屋を押し流し26人が死亡した土石流。起点となった盛り土の危険性について、少なくとも2013年4月以降、盛り土の安全性を管轄する市観光建設部内で引き継がれていなかったことが、元市幹部への取材で分かった。

◆12年2月最後に記録途絶える

 市が10月に公開した行政文書では、12年2月を最後に市が盛り土の危険性を指摘する記録は途絶えている。元幹部の証言からも同時期に、市の盛り土に対する危険性の認識が薄れていたことが裏付けられ、その後の必要な対策につながらなかった可能性がある。
 市は13年4月に観光経済部と、県土採取等規制条例にもとづく盛り土の届け出なども担当する建設部が統合し、観光建設部になった。初代観光建設部長を務めた男性は取材に「問題の引き継ぎはなかった。部署内でも上がっていなかった」と証言した。
 盛り土を巡っては11年2月に土地が現所有者に変更後の同年6月、市は安全対策を命じる措置命令の発出を検討。盛り土を造成した神奈川県小田原市の不動産管理会社が安全対策工事に着手するなどしたため、見送った経緯がある。元部長はこれに対しても「報道で知った」と話す。

◆「引き継ぎなかった」と13年時点の幹部

 13年4月に同部次長を務めた男性も取材に「引き継ぎはなかった」と証言する。盛り土の危険性に関する当時の認識について「役所としても現場での搬入が止まり、一段落しているイメージだったと思う」と推測する。県が公開した12年4月の写真では、盛り土はひな壇状にされ、一部は緑化。行政文書から土地所有者が変わってから大規模な土砂の搬入も止まっていたことも分かっている。
 元部次長は「あそこが崩れるとは全く想定していなかった」と述べた。
 同市議会は伊豆山地区の土石流災害の原因を究明する調査特別委員会(百条委員会)を設置。起点の土地の現旧所有者や退職した市の職員の他、県の職員らを招致する方針を示している。本格的な審議は年明け以降に始まる見通し。(三沢聖太郎)

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