調布漏えい「単純ミス」苦しい説明 公文書か判断せずメール削除?国交省はなぜ止めなかった?

2021年12月5日 06時00分

昨年10月18日、陥没が発生した直後の現場=東京都調布市で(住民撮影)

 東京外郭環状道路(外環道)工事での陥没事故を巡り、東京都調布市に情報公開請求した地元男性(74)の個人情報が、市によって国土交通省や事業者側に漏らされた問題が波紋を広げている。市側は「単純ミス」を強調するが、本来、住民を守るはずの行政が起こした重大事態に、公文書管理の観点からも疑問の声が上がっている。(花井勝規、加藤益丈)

◆事故後9回、個人情報を隠さぬまま請求書写しを漏えい

 男性は、環状道路の建設に批判的な市民団体「外環ネット」のメンバー。7年前から、市に、工事に関する情報公開を求めていた。情報漏えいは事故後の今年6~10月に計9回繰り返されていた。
 情報公開請求書では「9月18日から10月1日まで」などと期間を特定し、その間に市が入手・作成した外環道関連の情報一式の公開を求めていた。
 請求を受けた調布市の街づくり事業課の職員2人が男性の住所や氏名、電話番号などを隠さないまま、請求書の写しを添付ファイルにして、工事を行っている国交省東京外環国道事務所(世田谷区)、東日本高速道路、中日本高速道路にメール送信した。

調布市から国土交通省などに漏えいした情報公開請求書の写し(部分)

◆市幹部「写し送付は確認作業しやすいとの判断」

 情報公開請求を受け、市が外部の事業者などから入手した情報は、情報公開の可否を入手先に照会する。本来なら、別に書類を作成するなどの手順を踏み、請求書そのものを照会先に送ることはない。
 市幹部は「請求対象の期間が分かれば、相手方が確認作業をしやすいとの判断で、請求書の写しを送っていたようだ」と明かす。
 情報漏えいは、メールを印刷した紙を添えた匿名の手紙が、この男性に送られてきたことで発覚した。
 市がこのメールを確認しようとしたが「メールサーバーの容量が小さい」との理由で、削除済みだった。
 個人情報を受け取った国交省東京外環国道事務所も、メールは削除済みという。

◆メールを公文書かどうか判断せず削除したのでは?

 国のガイドラインでは、意思決定過程の検証などに必要と判断したメールは公文書に当たり、「原則として作成者か第一取得者が保存する」と定めている。
 調布市からのメールは、公文書かどうかも判断せずに削除された疑いが消えない。国交省公文書監理・情報公開室は、メールが公文書に当たる可能性を認めつつ「保存期間1年未満の文書に当たる可能性があり、廃棄が問題とは言い切れない」としている。
 情報公開制度に詳しい三宅弘弁護士は「個人情報は適正に管理しながら、メールを保存するのが基本。公文書の取り扱いについて、国の研修態勢は不十分で、こうした問題は氷山の一角だろう」と指摘する。

◆国交省、なぜ止めなかった?

 業務に不要な個人情報を9回にわたり発信する調布市の動きを、国交省側がなぜ止めなかったのかという疑問も残る。担当者は「調布市の情報取り扱いは市が判断すべきもの。当事務所が意見を言う立場にない」と話したものの、情報の流し方に注意を促したかについては明確に答えなかった。
 三宅弁護士は「今回、情報公開請求された調布市は、条例に基づき国などに意見照会した。国は組織として回答するためメールを使用しており、メールは当然、公文書に当たる。個人情報に配慮しながら公文書として扱いを適切に管理すべきだった」と指摘している。

 

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