「守るべきは子ども」大人の対立の犠牲にしないで 子ども庁に第三者機関設置を提案 NPO法人代表

2021年12月5日 21時11分
全国の学校や教育委員会に呼び掛けていじめ対応についてのアンケートを実施した森田志歩さん=埼玉県川口市で

全国の学校や教育委員会に呼び掛けていじめ対応についてのアンケートを実施した森田志歩さん=埼玉県川口市で

 子どもを思う気持ちは同じはずの学校と保護者が対立し、解決へ進まないまま年月が過ぎるー。いじめ対応について学校や教育委員会の教職員アンケートを実施したNPO法人「プロテクトチルドレン」代表の森田志歩さん=埼玉県川口市=は、年間で1000件近い相談を受ける中で、そんな現場に数多く立ち会ってきた。「守るべき子どもがはざまに取り残され、傷を深めている」と話す。(柏崎智子)
 森田さんは、息子(19)が中学時代にいじめに遭った経験からいじめ問題に取り組み、NPO法人「プロテクトチルドレン」を設立して子どもや保護者、対応に悩む学校や教育委員会からも相談を受けている。
 森田さん自身、息子のいじめで学校や教育委員会の不適切な対応を経験したため、当初は保護者の立場で活動した。しかし、学校や教委から話し合いの扉を閉ざされ「これでは解決しない」と気付いた。

◆中立の立場で聞いて、見えてきたこと

 「味方をするのは子どもだけ」と決め、保護者と学校側の言い分を中立の立場で聞くようにしたところ、学校や教委側の悩みも見えてきたという。
 「深刻ないじめが起きると学校や教委が批判されるが、根本的な原因が解明されずに問題の風化が繰り返されてきた」として、学校現場の実情を踏まえた改善策の必要性を指摘する。
 9月、西日本にある高校の女子生徒の保護者から「いじめを受けている」と相談があったケースでは、女子生徒が学校を休みがちになって既に1年が経過していた。悪口を言われて無視され、私物も壊されたのに「学校は何もしてくれない」という。

◆学校と保護者、生徒が率直に話し合うことで…

 学校に話を聞くと、対応はいじめの発生から2カ月後と遅かったものの、関係者に聞き取り調査し、相手生徒には壊した私物代を弁償させている。
 さらに、調査で女子生徒も相手生徒の悪口を言っていたことが判明したが、校長は「(女子生徒の)保護者には話していない。耳を貸すと思えなかった」と打ち明けた。
 森田さんは、学校と保護者、女子生徒が率直に話し合う場を提案。森田さんのアドバイスで学校が対応の遅れを謝罪し、女子生徒も悪口を言っていたことを保護者に伝えると、それまで教職員の処分や相手生徒の停学を求めていた態度が軟化した。学校は、安心して学校へ戻れるよう目を離さないことなどを約束し、翌日から女子生徒は教室に入れるようになった。

◆こじれたら当事者間解決は至難の業

 いじめを巡って多いと感じるのが、学校側と保護者側が互いに誤解していたり、わが子のいじめ被害にショックを受けた保護者に学校側の取り組みが届かず、問題が長期化するケースだ。森田さんは保護者の怒りを解き、両者に何が子どもにとって最善か考えさせ、解決へ導いてきた。
 「こじれてしまうと当事者だけで解決するのは至難の業だ。中立の立場で介入できる第三者機関を、政府が2023年度の発足を表明しているこども庁に設置してはどうか」と森田さんは提案。「いじめで苦しんでいる子どもたちは一刻も早い解決を望んでいる。その願いがかなう体制をつくってほしい」と訴える。

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