<社説>介護職ら賃上げ 処遇さらに改善したい

2021年12月6日 07時03分
 介護職や保育士、看護師の賃金を引き上げる予算を盛り込んだ二〇二一年度補正予算案が、きょう召集の臨時国会に提出される。低賃金、重労働で少子高齢化社会やコロナ禍の最前線に立つ人たちであり、処遇改善は当然だ。
 同時に、人材難を改善するためにも、少なくとも賃上げ後の水準を維持できるよう財源確保の議論を進めるべきである。
 介護職らの賃上げは、岸田文雄首相が政権の看板に掲げる分配戦略の第一弾だ。補正予算が成立すれば、来年二月から介護職や保育士が月額九千円、看護師は月額四千円、賃金が引き上げられる。
 来年九月分までは交付金や補助金の形で経費を措置し、介護職と看護師の十月以降分については、介護保険、医療保険制度で事業者に支払われる報酬を改定して対応する方針だ。
 政府はこれら職種の処遇改善をこれまでも図ってきたが、二〇年の賞与などを含めた月収は、民間平均三十五万二千円より介護職が五万九千円、保育士が四万九千円低い。看護師は四万二千円上回るものの、医師の四割程度だ。
 変則勤務、重責に比べて割に合わないため離職者が多く、慢性的な人手不足に陥っている。
 今回の賃上げが行われても、単純計算で介護職、保育士の月収はなお民間平均に及ばない。職務に見合う賃金なのかは検討を続ける必要がある。
 医療や福祉のサービスは、政府が価格を決め、税や保険料、利用者負担を財源に事業者に経費が渡る。継続的な賃上げにはそれぞれの負担増が必要な場合もある。
 政府が設置した「全世代型社会保障構築会議」などでサービスと負担のバランスについて議論し、負担増が必要な場合には国民の理解が得られるよう、丁寧な説明を尽くさねばならない。
 処遇改善のための予算措置が介護や医療などの現場で実際の賃上げにつながる工夫も大切だ。
 数次の処遇改善にもかかわらず介護職らの賃金が低水準なのは、人件費の配分に事業者側に裁量の余地があることも理由だろう。行政が経費の運用を的確に把握する仕組みも必要となる。
 その際、パートで介護や看護に携わる人たちの賃上げも実現させたい。いったん離職した経験者に復職を促し、人材を確保するためには処遇の改善が欠かせない。

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