敵基地攻撃能力含め「あらゆる選択肢検討」 首相所信表明演説 抑制的な防衛政策転換の可能性

2021年12月6日 19時53分

参院本会議場で所信表明演説をする岸田首相

 第207臨時国会が6日召集され、衆参両院の本会議で岸田文雄首相の所信表明演説が行われた。首相は、第2次安倍政権が2013年に策定した中長期指針「国家安全保障戦略」の初改定を1年以内に行うと表明。弾道ミサイルを相手国領域内で阻止する敵基地攻撃能力の保有も含め「あらゆる選択肢を排除せず検討する」と強調した。戦争放棄や戦力不保持をうたう憲法9条を踏まえた受動的、抑制的な防衛政策の転換につながる可能性がある。(川田篤志)
 首相は、中国の海洋進出や北朝鮮の核・ミサイル開発などを念頭に「わが国を取り巻く安保環境はこれまで以上に厳しさを増している」と、防衛力を抜本的に強化する必要性を指摘。国家安保戦略改定にあわせて、防衛大綱と中期防衛力整備計画(中期防)も見直す意向を示した。
 敵基地攻撃能力の保有も検討する背景には、日本のミサイル防衛(MD)システムでは迎撃が難しいとされる極超音速ミサイルや変則軌道を描くミサイルの開発が周辺国で進んでいるという危機感がある。打撃力を米軍に委ねる従来の方針に固執すれば、抑止力の低下を招きかねないという判断だ。
 政府は15年に成立した安保関連法に基づき、自衛隊と米軍の一体運用を加速している。一方で自国の防衛力の保持は必要最小限にとどめる「専守防衛」を堅持。加えて「他国に脅威を与えるような軍事大国とならない」ことも基本理念とする。敵基地攻撃能力の保有は、こうした防衛戦略を大きく変えるだけでなく、結果として周辺国の軍拡をさらに加速させる「安保のジレンマ」に陥る懸念がある。
 首相は演説で、新型コロナウイルス対応に力点を置いた。国内で新たな変異株「オミクロン株」感染者が確認されたことを踏まえ、水際対策の強化を表明。3回目のワクチン接種を2回目から「8カ月を待たずにできる限り前倒しする」と明言した。経済再生に向けて需要喚起策「Go Toキャンペーン」の準備を進める考えも示した。

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