10代含む自宅療養者90人にアビガン投与 厚労省通知に違反か 千葉・いすみ医療センター

2021年12月6日 21時00分
アビガン(富士フイルム富山化学提供)

アビガン(富士フイルム富山化学提供)

 千葉県いすみ市の公立病院「いすみ医療センター」で今年8~9月、新型コロナウイルス感染症の治療薬としての治験が進む内服薬「アビガン」を、厚生労働省の通知を守らずに10代を含む自宅療養者約90人に処方していたことが、県や病院への取材で分かった。病院によると、現在までに健康被害は確認されていない。
 厚労省は通知で、アビガン使用の要件として「医師の管理下で確実な服用管理・残薬管理」を医療機関に求めており、「自宅療養での投薬はできない」としている。今回のケースについて使用の経緯を調査している。
 病院や県によると、市内で新型コロナ患者が急増した8月14日~9月12日ごろ、車で来院した患者らにアビガンを車窓越しに処方し、患者らの同意を得て自宅などで服用させた。そのうち何人が服用したかは不明だという。
 伴俊明院長によると、外来患者への処方は病院の新型コロナ対策アドバイザーだった70代の男性医師が主導。太田洋市長や地元保健所幹部も出席した8月の市の会議で医師は外来患者への処方を提案し、アビガンの調達も医師が行ったという。
 医師は県内の総合病院で院長を務めるなど地域医療に携わっていた。昨年から同病院で新型コロナ対策アドバイザーを委嘱され、感染が疑われる患者の診療を担当していた。
 県は6日に会見し、同日に病院幹部に聞き取り調査をしたことを明らかにした。担当者は「自宅療養者への処方は患者への同意があれば違法ではないが、厚労省のルールとは異なる」と述べた。(加藤豊大)

アビガン 新型インフルエンザ治療薬として富士フイルム富山化学(東京)が開発し、2014年3月に厚労省が承認した。新型コロナウイルス感染症の治療薬としての承認申請も昨年10月にされたが、現在継続審議中。効果を研究するため、国内で投与が進められている。ただ、動物実験で催奇形性が確認されたことなどから、同省は今年4月、投与は同意のある入院患者らを対象とし、妊娠可能な女性らへの投与には慎重な検討が必要となると都道府県などに通知していた。


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