新天元に20歳の関 最年少記録を更新 プロ入り最速で初の七大タイトル獲得 

2021年12月6日 22時16分

第47期天元戦で一力遼天元に勝ち、タイトルを獲得した関航太郎新天元=6日、兵庫県洲本市で

 囲碁の第47期天元戦5番勝負(東京新聞主催)の第4局は6日、兵庫県洲本市のホテルニューアワジで打たれ、午後4時53分、挑戦者の関航太郎七段(20)が一力遼天元(24)に199手で黒番中押し勝ちし、対戦成績3勝1敗で天元を奪取、初の七大タイトルを手にした。
 関新天元は先月28日に20歳になったばかりで、井山裕太四冠(32)が2011年の第37期天元戦で達成した最年少記録22歳を更新した。七大タイトル獲得時の年齢も、芝野虎丸王座(22)が19年に名人を獲得した時の19歳11カ月に次ぐ2番目の年少記録。また、プロ入り後4年8カ月での七大タイトル獲得は、芝野王座の5年1カ月を上回り、史上最速。天元獲得により、7日付で八段に昇段する。
 今シリーズは初挑戦で勢いに乗る関新天元が第1局で先勝。第2局こそ逆転負けを喫したが、続く第3、4局と一力前天元を正確な読みで圧倒した。関新天元は「結果も内容も自分の実力以上のものが出せた」と喜びを語った。
 一力前天元は、8月の碁聖戦に続いて七大タイトルの防衛に失敗し、無冠になった。

◆鋭い読みでミス突き勝利

 鋭い読みで最速、最年少の新天元が誕生―。6日、兵庫県洲本市で打たれた第47期天元戦5番勝負(東京新聞主催)の第4局。挑戦者の関航太郎七段(20)は中盤、一力遼天元(24)の一手のミスを見逃さなかった。
 序盤、上辺や右辺で実利を稼ぐ一力に、関が下辺から中央の大模様で対抗した本局。昼食休憩直後、一力が下辺で白80(11十七)ツケから下辺の模様を荒らしにかかり、攻防が始まった。中央右の黒の大石と下辺から中央に伸びる白の一団の難解な攻め合いの中、一力は白106(15十五)キリと打ったが、これが問題だった。関が黒107(13十六)アテと切り返すと、白の大石は取られており、関が一気に勝勢に。その後も一力は紛れを求めて粘ったが、関は鋭い読みで中央の黒石、右上からの黒石とも生き、地合で大差をつけて一力を投了に追い込んだ。
 立会人の山田規三生九段(49)は「敗着の白106がすべて。しかし、そこへ至るまでの過程で、関さんがリスクを負いながら一力さんの大石を積極的に取り込もうとしていた姿勢が印象的だった」と話した。
 持ち時間各3時間のうち、残り時間は関3分、一力1分。対局の様子は東京新聞ウェブでも紹介している。

◆関新天元「ここまで戦えるとは」

 関航太郎新天元の話 白62(17七)まで右上が一段落し、悪くないと…。ある程度下辺が地になると思ったが、白80(11十七)ツケで難しくなった。(中央の黒石を逃げ出す)黒151(6十)でいけると感じた。開幕前はここまで戦えるとは思っていなかった。

◆一力前天元「信じられないポカ。こんなミスしてはだめ」

 一力遼前天元の話 (中央の攻め合いでは)白74(13十一)が利いているので、荒らしにいっても、取られない格好だと思っていた。白104(14十六)、106(15十五)のハネ切りが、信じられないポカ。こんなミスをしてはだめだ。この結果はしょうがない。

◆下馬評覆し、初の七大タイトル獲得

 若手第一人者の一力遼前天元が有利との下馬評を覆し、新鋭の関航太郎新天元が初の七大タイトル獲得を決めた。「実績や実力が足りなくてもチャンスはあると思っていた。自分の碁を多くの人に見てもらえるのがうれしかった」と語るように、初の大舞台を楽しみながら戦う強心臓で「大物食い」を成し遂げた。
 関新天元を5歳のころから指導してきた師匠の藤沢一就八段(57)は「よく動き回る元気な子だった」と振り返る。ほかの子の対局中に走り回り、迷惑になるので帰らせたことも。一方で「ひとたび集中するとものすごく力を発揮するタイプだった」。2013年には世界青少年囲碁選手権大会で中韓の強豪を破り、日本勢として初優勝。藤沢八段は「気持ちが高まると、非常に高い集中力が引き出されるようだ」と分析する。
 対局姿勢もまさに「動」の棋士だ。大きく体を前後に揺らし、時には盤に覆いかぶさるように考え込む。第1局の解説者の鶴田和志六段(26)は「初の挑戦手合なのに普段通りの姿勢で打てている。大物だ」と感嘆した。温泉につかってリラックスしたり、対局後に関係者と卓球に興じたりと、並の棋士なら緊張に震える大舞台を楽しんでいた。
 今後は、日本勢がなかなか結果を出せていない世界戦での「大物食い」にも期待がかかる。「そんなに差があるのかなと思って世界戦を見ている。自分で1局打って、試してみたい」と目を輝かせた。(樋口薫)

せき・こうたろう 2001年、東京都出身。藤沢一就八段門下。13年、第30回世界青少年囲碁選手権大会・少年組で優勝。17年に入段(プロ入り)し、20年新人王戦優勝。今期、天元戦本戦に初出場し、挑戦権を獲得した。日本棋院東京本院所属。


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