海自中東派遣を閣議決定 歯止めなき拡大解釈

2019年12月27日 16時00分
<解説> 政府が自衛隊の中東派遣をあえて閣議で決め、国会にも報告すること自体が、法律の想定を超えた運用の「後ろめたさ」を物語る。通常なら防衛省設置法に基づく調査・研究には閣議決定も国会報告も必要ないからだ。
 設置法は省の任務や組織を定めている。調査・研究は第四条に列挙した担当事務の一つ。自衛隊が日本の領域内や周辺で警戒監視活動を実施する法的根拠にしてきた。海外派遣を念頭に置いた規定ではない。
 最初の逸脱は二〇〇一年九月。米中枢同時テロ直後に横須賀を出港する米空母を海自が事実上、護衛する際、調査・研究を名目にした。その後、海自艦艇が米軍支援のためにインド洋に向かう時もそうだった。
 これらには一時的な緊急措置の面もあった。米空母の護衛は日本周辺海域までにとどめ、インド洋での米軍支援は根拠法をテロ対策特別措置法に切り替えた。今回は遠方の中東海域で一年間、恒常的に調査名目で活動する。前例をしのぐ拡大解釈と言うほかない。
 政府は今回の派遣の重要性を強調する。であれば、明確な根拠となる特別措置法案を国会に提出し、議論を尽くすべきだった。調査・研究という「魔法のカード」(防衛相経験者)がまかり通るなら、自衛隊をいつでも、どこへでも、海外派遣できることになる。安倍政権が日本の安全保障政策に新たな汚点を残そうとしている。 (山口哲人)

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