国連制裁の船、拘留せず 海保 那覇で検査後、出港許可

2019年12月29日 02時00分
 国連安全保障理事会の北朝鮮制裁決議により、各国が資産凍結しなければならない中国企業の運航する貨物船が今年一月に那覇港(沖縄県)に寄港、海上保安庁が検査し運航企業を確認しておきながら、調査のための拘留など必要な措置を取らずそのまま出港させていたことが分かった。専門家は日本の対応は「明らかな決議違反」としている。
 この中国企業は二〇一七年八月の国連安保理決議で全面的に禁じた北朝鮮産石炭の取引に関わったとして昨年制裁を受けた。密輸船を巡っては、韓国政府が一八年八月以降に入港禁止にした複数の船舶が措置後三十回は日本各地に入港したことが判明しており、今回の船はこのうちの一隻。
 国連決議の「完全履行」を掲げる日本が、北朝鮮の核・ミサイル開発の資金源となる石炭密輸船の活動を事実上、看過していた実態が裏付けられた。
 国際海事機関(IMO)などによると、問題の船は「シンヤン688号」で、華信船務(香港)有限公司が運航。所有者も同社の代表取締役となっている。華信船務社は、北朝鮮の石炭の密輸を指示したとして国連安保理の北朝鮮制裁委員会が昨年三月に制裁対象に指定し、日本政府も同年四月に資産凍結措置の対象にすると発表した。
 海上保安庁はシンヤン688号が一月に那覇港に入港した際、船舶検査で運航企業が華信船務社だと確認したのに「拘留理由がない」として出港を許可。寄港時検査の地域協力枠組み「東京MOU」にもシンヤン688号の運航企業は華信船務社だと報告していた。
 しかし、外務省は共同通信にシンヤン688号が「華信船務社の管理資産と確認できなかった」と説明。国連安保理制裁専門家パネルの元委員古川勝久氏は「華信船務社が運航責任者であることは複数国の海上保安当局も確認済みで、弁明の余地なく資産凍結の対象だ」としている。 (共同)
<国連の対北朝鮮決議> 国連安全保障理事会は北朝鮮による核・弾道ミサイル実験のたびに制裁措置を決議、順次強化してきた。核・ミサイル開発につながる「ヒト・カネ・モノ」の流入を遮断するのが目的。加盟国は国連が制裁対象に指定した団体、個人が管理する船舶を含め、あらゆる種類の資産を凍結する義務を負う。2017年8月採択の決議2371では北朝鮮最大の外貨収入源である石炭の輸出を全面禁止にし、石炭密輸への関与が疑われる船舶について、自国への入港を禁止するなどの措置を講じる義務が規定された。 (共同)

関連キーワード

PR情報

政治の新着

記事一覧