古代役人の宴の跡 前橋で12日まで、20年度発掘「文化財展」 「上野国府」推定地から出土の小皿など

2021年12月8日 07時57分

上野国府跡の推定地から出土した大量の小皿土器(手前)=いずれも前橋市で

 前橋市教育委員会が2020年度に発掘した出土品を展示する「新出土文化財展」が、同市大手町の国重要文化財「臨江閣別館」で開かれている。古代の県庁に相当する「上野国府跡」の一帯と推定される場所から出土した大量の小皿土器が並び、役人たちが宴(うたげ)を楽しんだとみられる。12日まで。入館、観覧とも無料。 (菅原洋)
 同展は毎年開き、今回は古墳〜江戸時代の約百五十点を展示。目を引くのは小形の素焼き土器十六点で、上野国府跡一帯とされる元総社町の宮鍋神社周辺から出土した。
 出土場所は平安時代終わりごろの土のくぼみで、中に大量の土器や破片があった。上野国府などの役人たちが宴を催し、現代の紙皿のような使い捨ての土器をまとめて捨てたとみられ、珍しく貴重な遺構と考えられるという。
 神社周辺では古代の特別な建物の基礎が出土し、上野国府などの役所と関連する建物が複数あった、と推定される。

11世紀前半ごろの金銅製仏像

 この他に注目されるのは、元総社公民館近くの元総社蒼海(おうみ)遺跡群から出土した平安時代(十一世紀前半ごろ)の金銅製の仏像。全高約十センチ、重さ約百四十五グラムと小形で、わずかに残る鼻や口元から優しい表情が浮かぶ。近くには、こうした仏像などを作るための鋳型や金箔(きんぱく)が出土した工房跡もあった。
 市教委文化財保護課の神宮聡補佐・埋蔵文化財係長は「周辺には国分寺や国分尼寺があり、関連する仏教信仰がうかがえる」とみている。
 また、上泉町の上泉下中峯遺跡の巨大な穴からは「厨(くりや)」と墨書された奈良時代(八世紀中ごろ)の須恵器片が出土。神宮さんは「厨とは家庭の台所ではなく、まとまった量の料理を作る場所。一帯に何らかの公的施設の拠点があった可能性がある」と推測している。

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