<どう変わる?社会保障 全世代型会議 中間報告>(下) 在職老齢年金の見直し

2019年12月27日 02時00分
 全世代型社会保障検討会議の中間報告では、働いて一定以上の収入がある高齢者の厚生年金を減らす「在職老齢年金」制度の基準額も見直された。同制度は、六十歳を過ぎても会社などで働き、厚生年金を受け取りながら一定の賃金を得ている人に、年金の一部を我慢してもらう仕組みだ。
 賃金と年金の合計額が、六十~六十四歳は月二十八万円超、六十五歳以上は月四十七万円超の場合、超えた分の半額が厚生年金から差し引かれる。
 中間報告では、この基準額を六十~六十四歳の人も「月四十七万円超」に合わせた。働くと年金が減らされる制度が、六十代前半の人の就業意欲を損ねているとの指摘を踏まえた。
 この見直しで、六十~六十四歳の減額対象者は、現在の約六十七万人(在職受給者の約55%)から約二十一万人(同17%)に減り、約四十六万人が年金を満額もらえるようになる。給付を増やす財源に約三千億円が必要になる見通しだ。
 厚生年金は現在、支給開始年齢を六十五歳に段階的に引き上げている。男性は二〇二五年度、女性は三〇年度に、支給開始年齢が六十五歳に完全に移行し、六十~六十四歳の受給者はいなくなる。今回の見直しの効果は、完全移行までの時限的なものとも言える。
 政府は当初、六十五歳以上の基準額も月四十七万円から月六十二万円に引き上げることを検討したが、野党が「金持ち優遇だ」と反発し、与党も「引き上げ額が高い」と批判した。
 全世代型社会保障検討会議メンバーの中西宏明経団連会長も、制度が高齢者の就業意欲を損ねているという政府の説明に「意欲を減退させることはない」と異論を唱え、政府が議事録にこの発言を記載しないという不可解な一幕もあった。各方面の批判で、六十五歳以上の基準額は現状維持となった。 (この連載は、村上一樹が担当しました)

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