分配重視の立民提案、従来政策を堅持の首相 代表質問で対立軸が鮮明に

2021年12月9日 06時00分
 衆院本会議で8日に始まった各党代表質問で、立憲民主党の泉健太代表、西村智奈美幹事長が就任後初めて岸田文雄首相との論戦に臨んだ。提案型路線を掲げる泉氏らは分配重視や多様性の尊重といった党の看板政策をぶつけ、自民党との違いをアピール。首相は、経済政策や多様性に関する答弁で従来の立場を堅持し、与野党第1党の対立軸が鮮明になった。(曽田晋太郎、市川千晴)

◆富の配分や税制改正訴える

 まず首相との違いが見えたのが、経済政策を巡る論戦。泉氏は質問の冒頭で、立民の基本姿勢を「国民、地域に寄り添う政党だ。公正な社会を実現し、富の適正配分を進める。自由と多様性の尊重を通じて課題解決に取り組んでいく」と説明した。
 泉氏は、新型コロナ対応の経済対策を盛り込んだ2021年度補正予算案を組み替え、5万円分のクーポン支給で生じる967億円の事務経費を生活困窮者らの支援に回すよう提案。高所得者の所得税の累進性強化や、金融所得課税の引き上げといった税制改正を訴えた。
 首相は税制に関し「これまでの税制改正の効果を見極め、経済社会の構造変化も踏まえて考える」と答えるにとどめた。
 泉氏は質問後、首相が競争重視の新自由主義からの転換を主張していることに触れ、記者団に「実際はこれまでの安倍路線を踏襲している」と批判した。

◆「多様性尊重の政策伴わず」

 ジェンダー平等を訴えてきた西村氏は「首相は言葉では『多様性の尊重』を言うが、政策が伴っていない」と指摘。選択的夫婦別姓や同性婚の制度導入に対する見解を示すよう求めた。
 首相は夫婦別姓に関して「国民の間にさまざまな意見があり、幅広い理解を得る必要がある」と消極的な姿勢を示し、同性婚は「わが国の家族のあり方の根幹に関わる問題で、極めて慎重な検討を要する」と断言。伝統的な家族観が崩れるとして、慎重論が強い自民党内の保守派に配慮するような答弁に終始した。
 西村氏は首相が所信表明演説で「女性の就労の制約になっている制度の見直し」に言及したのを受け、配偶者控除などは女性が働くほど不利になる仕組みにメスを入れるかも迫ったが、首相は「幅広く検討し、見直しを進めていく」と具体論に踏み込むのを避けた。

◆改憲に前向きな首相

 憲法を巡っても論戦が交わされた。泉氏は憲法を「わが国の平和と国民生活の平穏を守るために貢献している」と評価。改憲に前向きな姿勢を示す首相に、憲法の何が課題なのかを説明するよう求めた。
 首相は正面から答えず「国会議員は憲法が今の時代にふさわしいかどうか、真剣に向き合っていく責務がある」と強調。国会の要求があれば、内閣に臨時国会召集を義務付けた憲法53条に従うかを明確にするよう求めた西村氏にも「憲法の規定を順守していく」と答えただけだった。
 西村氏は質問後「あえて答弁しなかったりはぐらかしたりして、(首相が売りにする)『聞く力』とは言えない」と訴えた。

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