思いやり予算、年100億円増で日米が大筋合意 共同訓練費を追加

2021年12月11日 06時00分
 日米両政府は2022年度から5年間の在日米軍駐留経費の日本側負担(思いやり予算)について、年平均2100億円規模とすることで大筋合意した。現行水準より年100億円規模の増額となる。自衛隊と米軍の共同訓練にかかわる費用が新たに盛り込まれた。日本政府は、中国の軍備拡張や北朝鮮の核・ミサイル開発の進展など安全保障環境が厳しさを増しているとして、米側が求める負担増を受け入れた。
 複数の政権関係者が明らかにした。日本側は合意内容を22年度予算案に反映する。来年1月上旬にも日米の外務・防衛担当閣僚による安全保障協議委員会(2プラス2)を開き、特別協定を締結する見通しだ。
 日本側は従来、米軍基地内にある施設の電気・ガスや水道の費用、従業員の給与、隊舎の整備費などを肩代わりしている。今回の合意では、光熱水費を削減する一方、日米同盟に基づく抑止力強化につながるとして「共同訓練費」の項目を新設した。
 思いやり予算は在日米軍の駐留経費のうち、日米地位協定上の支払い義務がない負担を指す。日米両政府はおおむね5年ごとに水準を見直している。16~20年度は年1900億円~2000億円の水準で推移し、5年間で約9800億円を負担した。
 当初は昨年末の合意を目指して交渉を進めていたが、米国の政権交代期と重なったため、21年度は暫定的に2017億円とし、結論を1年先送りしていた。

◆米の増額要求 あらがえぬ日本

 2022~26年度の思いやり予算は5年間の総額で1兆円を超え、現行水準と比べて500億円ほどの増額となる。米側の意向も踏まえて防衛費が7年連続で過去最大を更新するなど、見直し交渉で日本側の貢献を訴えやすい状況にあったが、米側から負担増を求められれば、あらがうことのできない「いびつな関係性」が改めて浮かび上がった。
 日本は第2次安倍政権以降、厳しい財政状況にもかかわらず、米国の増額要求に応える形で防衛費を膨張させ続けている。2015年には世論の反対を押し切って安全保障関連法を成立させ、自衛隊と米軍の一体運用を進めるなど日米同盟の強化に努めてきた。今回の交渉でもこうした点を強調し、米側に減額を求めたが、結局は押し切られた。
 今回の合意に基づく特別協定では、26年ぶりに新たな項目として「共同訓練費」が設けられる。中国の軍拡を受け、米軍配備・展開の中心が中東からアジアにシフトしていることも考えると、次回以降の交渉でこの枠の負担がさらに増える恐れもある。
 ドイツや韓国などと比べ、米軍駐留経費が突出して高いとされる日本でなぜ増額が必要なのか。政府には国民を納得させる丁寧な説明が求められる。(川田篤志)

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