賃上げ促進税制の一方で金融所得課税強化は見送り 22年度税制改正大綱

2021年12月10日 21時36分

2022年度与党税制改正大綱を決定し、記者会見する自民党の宮沢税調会長(右)と公明党の西田税調会長

 自民、公明両党は10日、2022年度の税制の見直し内容を示す与党税制改正大綱を決めた。岸田文雄首相が掲げる分配政策の一環として、賃上げ企業への優遇税制の拡充を柱とした。株式の配当や売買益にかかる金融所得への課税強化は「検討が必要」と記載しながら今回も見送られ、将来の実施時期を明示しなかった。
 現行の賃上げ優遇税制は、大企業が前年度より給与総額を増やした分の最大20%、中小企業で最大25%を控除率として法人税額から差し引く。22年度からは、大企業は4%以上の賃上げなどの実施で最大30%、中小は2・5%以上の賃上げなどで最大40%まで控除率を引き上げる。
 賃上げ率以外に、給与総額の計算方法も企業規模で異なる。大企業では前年度から継続して雇う人の給与総額から判断するが、中小では新規雇用者の分も含める。
 住宅ローン減税は25年まで4年間延長する一方で、ローン残高に応じて所得税と住民税を差し引く割合を1%から0・7%に縮小する。その上で、ローンの借入限度額は、新築で省エネ性能に優れた住宅を優遇する。
 新型コロナウイルス対策として設けた固定資産税の負担軽減措置は、住宅地は予定通り本年度で終了。商業地は22年度も続け、コロナ禍で売り上げが落ち込む企業に配慮する。
 一方、首相が自民党総裁選時に目玉政策に挙げた金融所得課税の強化は見送られ、次年度の検討事項となった。
 与党は大綱で、現行の金融所得の税率20%を引き上げることを念頭に「税負担の公平性を確保する観点から、課税のあり方について検討する必要がある」と記載。ただ、実施時期を明記せず、「一般投資家が投資しやすい環境を損なわないよう十分に配慮する」として慎重姿勢もにじませた。
 自民党税制調査会の宮沢洋一会長は10日の会見で、賃上げ優遇税制の導入で「1000億円台半ば」の国税減収を、固定資産税の負担軽減措置の一部継続で「450億円程度」の地方税減収を見込んでいると明らかにした。(皆川剛)

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