政策行き詰まり 国会が原因 成田憲彦・駿河台大名誉教授に聞く

2019年12月11日 02時00分

国会での議論の在り方について話す駿河台大の成田憲彦名誉教授=東京都千代田区で

 九日に閉幕した臨時国会では、安倍晋三首相と野党党首が直接向き合う党首討論が一度も開かれなかった。首相が一問一答に応じる予算委員会の集中審議も、首相主催の「桜を見る会」を巡る問題が浮上して以降は、野党が開催を求めても与党が拒否して実現しなかった。細川内閣で首相秘書官を務めた成田憲彦・駿河台大名誉教授は、予算案や法案を巡る議論が深まらない国会の現状を踏まえ、首相と野党が定期的に討論できる新たな仕組みづくりが必要だと提言する。 (聞き手・坂田奈央)
 -最近の国会をどうみるか。
 「財政赤字や格差拡大、人口減の問題など、日本が政策的に行き詰まっているのは、予算案や法案を具体的に審議しないという国会の欠陥が原因の一つだと感じる。本会議では政策テーマをしっかりやる。予算委は総括的な議論ばかりではなく、帝国議会の時のように、予算案を区分ごとに議論すべきだ。英国やドイツ、フランスと比べても日本は(首相との)討論・質問の場が少ない」
 -二〇〇〇年創設の党首討論は最近、年二回程度の開催にとどまっている。
 「党首討論制度をつくる前提となった、二大政党化の流れは失われた。党首討論を廃止し、多様な議論の場をつくるべきだ」
 -桜を見る会を巡る問題など、時々の重要事項も議論が必要だ。
 「参考になるのは、ドイツ議会の『時事問題討論時間』だ。週一回、一時間ぐらい行われ、テーマを与野党で決める。時事問題はこうした場を設け、政府の見解と情報提供を受けて議論すればいい」
 -野党は首相も出席する「集中審議」を求めた。
 「(首相と)議論するには一般的に予算委の集中審議しかないからだ。(予算案を審議する)『基本的質疑』でも議論はできるが、機会は限られる。本会議での議論は、所信表明演説や重要法案に対する代表質問でないとできない」
 -集中審議は与党が拒否して開かれなかった。
 「最大の問題は、集中審議も党首討論も、開くこと自体が与野党の交渉事項になっていることにある。やる、やらないに与野党のエネルギーの半分以上が費やされて議会の生産性が低くなっている。定期的に開かれる議論の場が必要だ」
<なりた・のりひこ> 1946年生まれ。東大卒。国会図書館で政治制度の調査に従事。細川内閣で首相秘書官を務めた後、駿河台大学学長、野田内閣の内閣官房参与を経て2017年から現職。専攻は政治制度論。著書に「比較議院内閣制論」(岩波書店、共著)など。

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