日大「前理事長と永久に決別」 家宅捜索から3カ月でようやく会見 背任舞台の出資会社は清算検討

2021年12月10日 22時42分
 日本大学は10日、前理事長の田中英寿容疑者(75)が脱税容疑で逮捕されたことなどを受け、東京都千代田区の日大本部で記者会見を開いた。理事長を兼ねる加藤直人学長は「田中前理事長と永久に決別し、影響力を排除する」と宣言。外部有識者を中心とする「日本大学再生会議」を設置し、理事の選任方法などを見直す考えを明らかにした。

前理事長の田中英寿容疑者が逮捕されたことなどを受け、記者会見する(左から)日大の加藤直人学長、渡辺武一郎副学長、長倉澄監事=10日、東京都千代田区で

 日大が会見するのは、元理事の井ノ口忠男被告(64)らによる背任事件で、9月に日大本部などが東京地検特捜部の家宅捜索を受けて以降初めて。冒頭、加藤学長は「理事長や理事が逮捕されるのは前代未聞。心よりおわび申し上げる」と謝罪した。
 3カ月余り経過するまで会見開催が遅れた理由については「家宅捜索から逮捕、起訴など立て続けに事案が起こり、調査など綿密な対応を求められ本日に至った」と弁明した。
 加藤学長は「今後一切、田中前理事長が日大の業務に携わることを許さない」と強調。田中容疑者への役員報酬や賞与、退職慰労金を一切支給しないと述べた。井ノ口被告に対しては損害賠償請求を検討しているとした。
 背任事件の舞台となった日大の出資会社「日本大学事業部」は、清算を視野に今後のあり方を検討する。事件の原因や再発防止策を含む最終報告書を、来年2月にもまとめる方針を示した。
 有識者らによる再生会議について加藤学長は「マーケティングや法律に詳しい方など、さまざまな立場の意見を改革に反映させる」と説明した。
 日大では、付属病院の建て替えなどで大学の資金計4億2000万円を流出させ、大学に損害を与えたとして、井ノ口被告が背任罪で特捜部に逮捕、起訴された。
 田中容疑者は、2018年と20年分の所得税約5300万円を脱税したとして、先月29日に所得税法違反容疑で逮捕されている。

◆「理事会そのものが形骸化」不正を防げず

 大学の100%子会社の事業部を通じ、巨額の大学資金が流出した背任事件の主因について、加藤学長はアメフト問題で理事を引責辞任した井ノ口被告が、事業部取締役として復帰し「絶大な権限を持った」ことを挙げた。
 理事会を構成する30人もの理事の責任にも質問が相次いだ。加藤学長は「理事会そのものが形骸化し、報告会のような形になっていた。大きな問題点だった」と振り返った。
 田中容疑者がリベートを受け取る舞台の1つだったとされる妻経営の「ちゃんこ屋詣で」について、自身も経験があるかと問われると、加藤学長らは「新年会などで年に数回行っていた」などと明かした。ただ、田中容疑者と業者とのリベートのやりとりについては「事実関係を申し上げるのは捜査の関係上不適切」と回答を避けた。(三宅千智、奥村圭吾)

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