コリアンとの共生目指して31年…交流の歴史伝える高麗博物館で企画展 オンライン増やし若者にもアピール

2021年12月11日 17時00分

高麗博物館で開館20周年を記念して開かれている企画展=東京都新宿区で

 コリアンタウンとして知られる東京・新大久保にある「高麗こうらい博物館」が今月、開館20周年を迎えた。日本と朝鮮半島の古くからの交流の歴史を伝える。市民有志がボランティアでの運営を続けている。韓国・北朝鮮との外交問題が複雑化する中で「教科書で習わない歴史」を知ろうと若者の来館も少しずつ増えている。(砂上麻子)

◆交流史「正しく伝える」

 飲食店が並ぶ「職安通り」沿いの雑居ビル。その一室にある小さな博物館で8日、企画展「共生社会の実現をめざして―わたしたちの31年―」が始まった。
 企画展では、1990年の「高麗博物館をつくる会」結成を起点に「朝鮮半島と日本の交流史を正しく伝える」ことを目指した活動の歩みを振り返る。
 20年前の開館当時の様子や韓国の市民団体との交流をパネルで紹介するほか、韓国ドラマや映画に描かれた日本など、ボランティアがテーマを選び、調査した企画展の図録が並ぶ。

展示されている朝鮮の文化を伝える収蔵品

◆加害の歴史にも向き合い

 同会は、19年3月に日本の植民地支配からの独立を目指した「三・一独立運動」をテーマにした展示を企画したり、在日コリアン3世で、現在「川崎ふれあい館」館長を務める崔江以子チェカンイジャさんら在日の人たちを招いて在日と日本社会について考える講座を開いてきた。日本による朝鮮半島の植民地支配や関東大震災で起きた朝鮮人虐殺など、加害の歴史とも向き合った。村上啓子理事長(79)は「お互いを知らないと、理解も共生も難しい」と語る。
 運営費は市民からの年5000円の会費と寄付、入館料でまかなう。約50人のスタッフはボランティアだ。会員の高齢化とコロナ禍で厳しさが増している。10年ほど前は約850人の会員は650人に減った。昨年は、月平均の来館者が30~40人。例年の10分の1だった。

◆「ヘイトの根底に歴史誤認」

 現在はオンラインの講座やイベントを増やし、幅広い世代へのアピールに力を入れている。若者の姿も目につくようになった。
 今年2月には、世界遺産の長崎市の端島(軍艦島)で朝鮮人が過酷な労働を強いられた歴史を紹介する企画展を開催。訪れた大学生は「日本がこんな残酷なことをしていたとは知らなかった」と驚いた。

理事長の村上啓子さん

 K―POPや韓流ドラマは身近になる一方で、政治の世界では65年の国交正常化以来、最悪といわれる日韓関係に好転の兆しが見えない。村上理事長は「在日コリアンへのヘイトの根底には誤った歴史認識がある。歴史を知らせることがこれからますます重要になる」と話している。
 企画展は来年3月6日まで。開館時間は正午~午後5時(休館は月、火曜)。大人400円、中高生200円。問い合わせは同館=電03(5272)3510=へ。

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