慢性副鼻腔炎 放置は禁物 続く鼻づまり・鼻水は要注意 難治の「好酸球性」増加傾向

2021年12月14日 08時34分
 鼻づまりが続いたり、粘りけのある鼻水が止まらなくなったりする慢性副鼻腔(びくう)炎。細菌感染を機に発症するケースが多い。一方で、最近多くなっているのが、白血球の一種「好酸球」が異常に増える好酸球性副鼻腔炎だ。中等症以上は国の難病に指定されている。医師らは「いずれのタイプも、症状が軽いうちに治療を受けることが大事」と早めの受診を呼び掛ける。 (植木創太)
 名古屋市の男性会社員(34)は昨春、花粉症の時季が過ぎても鼻づまりが続いたため耳鼻咽喉科を受診。慢性副鼻腔炎と診断された。
 副鼻腔は、顔の骨の中にある、鼻腔につながった複数の空洞。体内に入る空気の温度や湿度を調節したり、細菌などの侵入を防いだりするとされる。ここの粘膜に起きる炎症が副鼻腔炎だ。男性は、抗菌薬(抗生物質)と鼻水の粘りを抑える薬の服用を続け、症状を抑えている。ただ、鼻の中に複数あるポリープ「鼻茸(はなたけ)」が、炎症でたまったうみの排出を妨げているため、手術での切除を勧められている。
 副鼻腔炎は多くの場合、細菌やウイルス感染などで起きた炎症をきっかけに発症。鼻づまりやドロドロとした鼻水、せき、たん、頭痛などの症状が出て、発症から四週間以内のものを「急性」、十二週間以上続くものを「慢性」と呼ぶ。
 福井大医学部耳鼻咽喉科・頭頸部(とうけいぶ)外科講師の高林哲司さん(49)によると、副鼻腔炎の患者は急性、慢性を合わせて国内に百万〜二百万人。慢性患者のうち、鼻茸があるのは二十万人とされる。治療は抗生物質の内服が基本だが、鼻茸がある場合は内視鏡手術で切除することも。二〜三カ月してうみがたまらなくなれば完治といえる。
 一方で、近年目立つのが感染を原因としない好酸球性副鼻腔炎だ。白血球の一種、好酸球が異常に増えるアレルギー性の炎症。患者の大半はぜんそくの持病があることが分かっている。
 鼻茸が鼻の根元に近い篩骨洞(しこつどう)に多くできるのが特徴だ。嗅覚をつかさどる細胞が集まる場所に近いため、においを感じにくくなる例が多い。難病指定を受けている中等症以上の患者は約二万人に上り、高林さんは「鼻茸を切除する人は、軽症も含めて約四割が好酸球性副鼻腔炎を患っている印象」と話す。
 治療は炎症を抑えるステロイドの投与が有効だ。しかし、副作用があるため長期間の服用は難しい。内視鏡手術で鼻茸を取り除くこともできるが、再発しやすい難点があった。ただ、術後にステロイドの投与や鼻洗浄、漢方を使うなどして炎症が起きにくい状態を保てば、高い割合で症状をコントロールできることが明らかになってきた。
 昨年三月、ぜんそくやアトピー性皮膚炎向けの注射薬「デュピクセント」が、公的医療保険の適用になったことも明るい材料だ。手術をしても再発する、健康上の理由で手術ができないといった場合が対象。炎症を引き起こす物質「サイトカイン」の働きを阻害する働きがある。ただ、二週間に一度のペースで打つ必要があるほか、三割負担で一回二万円近くかかる費用がネックだ。
 鼻がつまり、口呼吸の状態になると、ウイルスが喉に直接侵入し、風邪をひきやすくなる。慢性副鼻腔炎は感染症を機に悪化する例も多い。高林さんは「鼻づまりや鼻水が二週間以上続いたら放置せず、耳鼻咽喉科を受診して」と訴える。

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