東京・調布陥没で食い違う調査結果 NEXCO東日本「トンネル真上以外は地盤に影響なし」

2021年12月15日 06時00分

調査結果を説明する東日本高速道路関東支社の加藤部長=東京都練馬区で


 東京外郭環状道路(外環道)のトンネル掘削工事に伴い、東京都調布市の住宅街で陥没や空洞が見つかった問題で、東日本高速道路は14日、ルート真上以外の地盤が工事の振動で緩んだ事実はないとする調査結果を発表した。ルート周辺の地盤にも多数の空隙くうげき(すき間)ができたと指摘した専門家の調査と真っ向から食い違い、東日本高速の説明を疑問視する声も上がっている。(加藤益丈)
 同社は、シールドマシン通過で空洞などが発生したトンネルから40メートル離れた同市若葉町の2地点と、まだ通過していない1地点の計3地点で、ボーリング調査を実施。併せて土を採取し、筒の中で振動を加えて空隙が生じるかどうかを実験で確認した。
 地盤強度を示すN値は3地点ともおおむね「5」以下で、強固な地盤とはいえないが、一般住宅の建設には十分な強度だとした。採取土には自然由来の小さな空隙はあったが、振動を加えても数ミリを超える大きさにはならなかったという。
 同社関東支社の加藤健治建設事業部長は、調査は同社有識者委員会の理解を得ているとし「多角的に調査を行った。(掘削工事はルート)真上以外の地盤の強度を弱めていないと分かった」と強調した。
 芝浦工業大の稲積真哉教授(地盤工学)がルート周辺の地中の空隙を指摘している点には「今回の調査で黒い粘土層が空洞に見えるように感じた」と誤認の可能性を示唆した。同社は17、18日に住民説明会を行う。

◆芝浦工業大・稲積教授は反論「疑問に正面から答えていない」

稲積教授の調査地点跡(写真右下隅)のすぐ脇で東日本高速が行ったボーリング調査=東京都調布市で

 「今回の調査結果は専門的でなく、場当たり的で後出しじゃんけんの印象だ」。東日本高速から反論を突きつけられた形の稲積真哉教授は14日、本紙の取材にあきれた様子で語った。
 稲積教授は9月、ルート外3カ所を含む市内4カ所の住宅敷地内で独自調査を実施。うちルート外の1カ所では地中ビデオ撮影ですき間が多く見つかった。
 地盤の緩みはシールドマシンが起こした振動が原因であると分析。ルート上のみならずその周辺まで広範囲に広がり、表層の地盤を揺さぶった結果で「ルート直上の緩みとはメカニズムが異なる」と説明していた。
 これに対し東日本高速は、これまでもルートの真上以外の地盤の緩みはないとしており、この日の発表もその主張の範囲内だった。住民からの家屋損傷の申し出には、「(トンネル工事の損傷と以前からのものの)切り分けが難しく、それを含め広く補修対応している」と説明した。
 一方、東日本高速調査では地盤強度を示すN値が0から3程度であった。稲積教授は、自身の調査でも同程度であったとした上で、昨年7〜9月の工事より前の値が5程度だったと指摘。「N値がなぜ下がったか。そこに注目しているのに」と疑問を投げ掛ける。
 稲積教授は、工事期間中に各地でクラック(亀裂)が生じ、その後も大きくなっているとも指摘。東日本高速側の調査はこうした点にも触れていないとした上で「住民の疑問に正面から答えていない」と厳しく批判している。(花井勝規)

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