核武装の余地ない 自衛用の保有「憲法上不可」 元法制局長官・阪田雅裕氏に聞く

2019年11月27日 02時00分
 ローマ教皇(法王)フランシスコが二十六日までの訪日で核廃絶を訴えたが、日本政府は米国の「核の傘」に依存する姿勢を変えなかった。そもそも日本の歴代政権は「自衛のための必要最小限」の範囲なら、核兵器の保有は禁止されていないとの憲法解釈を維持してきた。阪田雅裕元内閣法制局長官は「核の保有が必ずしも排除されないと言ってきたのは『理論上』だ」と本紙に語り、実際には核兵器は持てないと強調した。一問一答は以下の通り。 (聞き手・大杉はるか)
 -歴代の内閣法制局長官は「憲法は核保有を禁じていない」と答弁してきた。
 「仮に防衛のための核兵器が開発されることがあれば、排除されないということだ。憲法上、攻撃目的、相手に脅威を与える兵器は持てないと言ってきた。核兵器は脅威を与える兵器の筆頭だ。日本は今ある核兵器は当然、持てない」
 -防御目的の核兵器はあり得るのか。
 「持ちうる核兵器の事例として(過去に内閣法制局が)『核地雷』を挙げたことがあるが、放射性物質を出すのだから、近隣住民や国内も被災する可能性が高く、国内で使うことは考えにくい」
 -米国が開発を計画する小型核なら自衛の範囲か。
 「ピンポイントでの攻撃目的なら核兵器である必要はない。広範囲で瞬時に大量に打撃を与えるのが核兵器。小型核は論理矛盾だ」
 -二〇一六年に当時の横畠裕介長官は、憲法は核兵器使用を禁じていないとの見解を示した。
 「もし、防御用の核兵器が開発されるようなことがあればということで、仮想の論理でしかない」
 -内閣法制局答弁は、核兵器の性質を考慮していないということか。
 「そうだ。『防衛に必要不可欠なものがあれば』という前提だ。日本に核武装の余地はない」
 -集団的自衛権の行使を可能とする安全保障関連法が制定され、自衛の範囲が広がった。
 「専守防衛とは違ってきている。海外に自衛隊が出て行くとき、どんな装備でどこまでやれるのか、国会での議論が必要だ」
 -日本が核兵器禁止条約に参加するのに憲法上の制約があるか。米国の核抑止が効かなくなる可能性はどうか。
 「憲法上の制約は全くない。入った(条約に参加した)からといって、『核の傘』に守られなくなるということでもない。日米安全保障条約が機能するかどうかという問題は残る」
<さかた・まさひろ> 1943年生まれ。東大法卒。66年大蔵省入省、2004~06年、内閣法制局長官。退官後、弁護士。

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