碁盤に向かった時、頭の中に出てくる図が貧相になった…大竹英雄名誉碁聖が現役を引退 入門から70年

2021年12月15日 18時00分

最年少棋士の仲邑菫二段(左)から慰労の花束を受け取る大竹英雄名誉碁聖

 碁聖6連覇をはじめ七大タイトルを通算17期獲得した囲碁棋士で、日本棋院元理事長の大竹英雄名誉碁聖(79)が15日、現役を引退した。東京都内で記者会見し、「入門から70年、すばらしい囲碁界で過ごせたことをうれしく思う」と笑顔で感謝を述べた。

◆「まだ打つな、もう少し考えろ」

 囲碁界は定年制がなく、引退は任意となる。理由について「碁盤に向かった時、頭の中に出てくる図が貧相になった。80歳になるのが怖く、その前に失礼しようと思った」と説明。現役時代の思い出については「いつごろか覚えていないが、打っている最中に碁盤から『まだ打つな、もう少し考えろ』と声が聞こえたことがあった。碁打ちになれるという喜びを感じた」と振り返った。

◆「大竹美学」と呼ばれるのはつらかった

 「竹林」と並び称された同年のライバル林海峰名誉天元(79)については「一緒に育ち、一緒に生きてきた。(引退は)勝手なことをしたような気持ちもある」と感慨深げに語った。手厚い本格派の棋風は「大竹美学」とも呼ばれたが「美学と呼ばれるのはつらい。自意識過剰にならざるを得なかった。もし『泥沼』と呼ばれていたら、(後年苦戦した)趙君(治勲名誉名人)、小林君(光一名誉棋聖)をやっつけていたのに」と本音ものぞかせた。

◆水戸黄門役をやってみたい

現役を引退し、記者会見に臨む大竹英雄名誉碁聖

 2008~12年に日本棋院理事長を務めた立場から、今後の囲碁界について「トーナメント棋士だけではなく解説や聞き手、ものを書く人、学校で教える人など、ありとあらゆるトップ棋士が必要。井山さん(裕太五冠)を先頭に後輩も立派に育っていて、洋々たるものがある」と期待を述べた。引退後にやりたいことを聞かれると「水戸黄門役をやってみたい。助さん、格さん、お銀さん(役の棋士)を連れて全国行脚し、囲碁の楽しさを伝えたい」と朗らかに語った。
 大竹名誉碁聖は北九州市出身。1951年、故木谷実九段に入門し、56年プロ入り。碁聖6連覇のほか名人4期、十段5期などを獲得。棋戦優勝回数48は歴代5位の記録。2015年には旭日中綬章を受章した。
 林海峰名誉天元の話 とにかくびっくりで…。まだまだ頑張れるのかなと。ずっと一緒だったので。寂しい限りですが、これからも元気で碁界のためにアドバイスをもらいたいです。

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